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感染症になったら仕事を休まなければならないか

 

 

 法律的には、季節型インフルエンザやノロウイルスによる胃腸炎は仕事を休ませる必要性はありません

成人において感染症で休職する必要性があるものは、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)における一類~三類の感染症と新型インフルエンザだけです(感染症法に基づく医師の届出について)。

1類感染症:(1)エボラ出血熱 (2)クリミア・コンゴ出血熱 (3)痘瘡 (4)南米出血熱 (5)ペスト (6)マールブルグ病 (7)ラッサ熱  

2類感染症:(1)急性灰白髄炎  (2)結核  (3)ジフテリア  (4)重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルス)(5)中東呼吸器症候群(MERSコロナウイルス)  (6)鳥インフルエンザ(H5N1)   (7)鳥インフルエンザ(H7N9)  

3類感染症:(1)コレラ (2)細菌性赤痢 (3)腸管出血性大腸菌感染症 (4)腸チフス (5)パラチフス

 

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 18条2項

 一類感染症の患者及び二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者又は無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。

 

労働安全衛生法68条

伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

労働安全衛生規則61条

  ・ 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者

  ・ 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかつた者

  ・ 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかつた者

「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者」について、厚生労働省は「伝染させるおそれが著しいと認められる結核にかかっている者」であるとしています(平成12年3月30日・基発第207号)ので、労働安全衛生法も厳密には結核以外を就業禁止にする根拠にはならないようです。

 

 しかし、医師は感染拡大を防ぐ義務があり公衆衛生上の必要性から感染者に休職を指導します。この医師の指導により「使用者の責に帰すべき事由」(労基法第26条)には該当せず休業手当が発生しないこともあり、事業主が休職を許可しやすい現状はあると思われます。診断書は有料ですので、診断書が必要かどうかは予め事業主に確認してから来院されることをお勧めいたします。休職の必要性や期間については学校保健安全法を参考にしています。

 

 

学校保健安全法施行規則より抜粋・改変

 

 

 注意:インフルエンザでは発症した後5日を経過し,かつ,解熱した後2日(幼児にあっては,3日)を経過するまで出席禁止となっています。これは発症した日(発熱が始まった日)は含まず、翌日を第1日と数えますが、小児の濃厚な接触による感染拡大を防ぐ意義は大きいですが成人では現実的はない部分があり、成人では解熱2日を経過するまででよいと考えます。

 

また食品取扱者、学校給食・保育園・水道事業従事者では集団感染の原因となりうるため対応は慎重となります。

ここでは関連性が高い法律だけご紹介しておきます。

 

食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)について(食安発1014第1号(平成26年10月14日)) (厚生労働省)

(4)食品取扱者が一類感染症の患者、二類若しくは三類感染症の患者又は無症状病原体保有者であることが判明した場合は、保菌していないことが判明するまで食品に直接接触する作業に従事させないこと

 

大量調理施設衛生管理マニュアル(平成 9 年 3 月 24 日衛食第 85 号別添)

(8) 責任者は、調理従事者等に定期的な健康診断及び月に1回以上の検便を受けさせること。検便検査には、腸管出血性大腸菌の検査を含めること。 また、必要に応じ10月から3月にはノロウイルスの検査を含めることが望ましいこと。

(9) 責任者は、調理従事者等が嘔吐、下痢、発熱などの症状があった時、手指等に化膿創があった時は調理作業に従事させないこと。

(10) 責任者は、下痢又は嘔吐等の症状がある調理従事者等について、直ちに医療機関を受診させ、感染性疾患の有無を確認すること。ノロウイルスを原因とする感染性疾患による症状と診断された調理従事者等は、リアルタイムPCR法等の高感度の検便検査においてノロウイルスを保有していないことが確認されるまでの間、食品に直接触れる調理作業を控えさせるなど適切な処置をとることが望ましいこと。

(11) 責任者は、調理従事者等について、ノロウイルスにより発症した調理従事者等と一緒に感染の原因と考えられる食事を喫食するなど、同一の感染機会があった可能性がある調理従事者等について速やかにリアルタイムPCR法等の高感度の検便検査を実施し、検査の結果ノロウイルスを保有していないことが確認されるまでの間、調理に直接従事することを控えさせる等の手段を講じることが望ましいこと。

 

学校給食衛生管理基準(平成21年文部科学省告示第64号)

(3)学校給食従事者の健康管理

二 検便は、赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌血清型O157その他必要な細菌等について、毎月2回以上実施すること。

三 学校給食従事者の下痢、発熱、腹痛、嘔吐、化膿性疾患及び手指等の外傷等の有無等健康状態を、毎日、個人ごとに把握するとともに、本人若しくは同居人に、感染症予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律百十四号。以下「感染症予防法」という。)に規定する感染症又はその疑いがあるかどうか毎日点検し、これらを記録すること。また、下痢、発熱、腹痛、嘔吐をしており、感染症予防法に規定する感染症又はその疑いがある場合には、医療機関に受診させ感染性疾患の有無を確認し、その指示を励行させること。さらに、化膿性疾患が手指にある場合には、調理作業への従事を禁止すること。

四 ノロウイルスを原因とする感染性疾患による症状と診断された学校給食従事者は、高感度の検便検査においてノロウイルスを保有していないことが確認されるまでの間、食品に直接触れる調理作業を控えさせるなど適切な処置をとること。また、ノロウイルスにより発症した学校給食従事者と一緒に食事を喫食する、又は、ノロウイルスによる発症者が家族にいるなど、同一の感染機会があった可能性がある調理従事者について速やかに高感度の検便検査を実施し、検査の結果ノロウイルスを保有していないことが確認されるまでの間、調理に直接従事することを控えさせる等の手段を講じるよう努めること。

 

流行歴の確認

 

現在の感染症の流行状況については、以下のホームページを参照下さい。

 

 

 

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