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関節リウマチの血液検査
リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体は関節リウマチの診断や予後の予測に有用です。しかしながら関節リウマチで両者とも陰性な人が3割程度いますので血液検査だけで関節リウマチではない、という事は言えません。
なお、MMP-3は早期より上昇・滑膜の炎症を反映し重症度に関連するなどの特徴がありますが、臨床所見に付加的価値があるかどうかははっきりしていません。
リウマトイド因子
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リウマトイド因子は関節リウマチ以外にも高齢者(10-20%)や膠原病{特にシェーグレン症候群(75-95%。他にMCTD(50-60%)、強皮症(20-30%)、SLE(15-35%))、感染症(感染性心内膜炎、ウイルス性肝炎、結核、梅毒、ムンプス、風疹、インフルエンザ、寄生虫)、肺疾患(サルコイドーシス、間質性肺炎、珪肺、アスベスト肺)、肝疾患(原発性胆汁性肝硬変、肝硬変(クリオグロブリン血症(40-100%)))、悪性疾患(白血病、結腸癌)で陽性となることが知られています(Am Fam Physician. 2002 Mar 15;65(6):1073-80.)。
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リウマトイド因子は高ければ高いほど関節リウマチの発症率が高くなります。
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リウマトイド因子が25-50 IU/mLならばHRは3.6で、50.1-100 IU/mLならば6.0、100 IU/mL超であれば26で関節リウマチの発症が多くなり、50-69歳喫煙女性で100 IU/mL超の場合がリスク最大で10年間で32%が関節リウマチとなる(BMJ. 2012 Sep 6;345:e5244.)
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抗CCP抗体
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関節リウマチ以外にも結核(34.3%)、感染性関節炎(8.6%)、SLE(8.4%)、全身性硬化症(6.8%)、Sjogren症候群(5.7%)、血管炎(4.7%)、C型肝炎(3.5%)、脊椎関節炎(2.3%)、変形性関節症(2.2%)で陽性となりますが(Arthritis Rheum. 2009 Nov 15;61(11):1472-83.)、抗CCP抗体が高値であれば関節リウマチの可能性が非常に高いといえます。
単純レントゲン写真の読み方
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手足のレントゲン写真では関節辺縁からかじり取るような骨びらんがあれば診断的価値が非常に高いとされます。
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びらんは第2-3MCP関節、第4-5MTP関節でよく見られますが、活動性関節炎が6-12ヶ月継続しないとこれらの変化は生じません。
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Alignment, Soft tissue, Bone, Cartilageの順に読むASBC(あるいはABCs)が系統的読影として有用です。
超音波検査とMRI検査
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超音波検査やMRI肩鎖は滑膜炎の程度を半定量化することができ、早期関節リウマチの診断や病勢の判断に有用です。また超音波検査やMRIは骨びらんの検出においてX線写真より感度が高く有用です(Rheumatology (Oxford). 2011 Jun;50(6):1137-47)。
MRIはSTIR法などのシーケンスにて骨髄浮腫や骨びらんが確認できますが、活動性の指標となる滑膜炎は造影MRIによるMaximum intensity Projection(MIP)法で良好に確認できるため、可能な限り造影MRIを行います。(造影が不可能な場合は拡散強調画像(b=800 s/m^2)も検討します:Magn Reson Imaging. 2014 May;32(4):350-3.)
Maximum intensity Projection(MIP)法