注:更新が滞っていますので、最新情報は公式ウェブページ参照ください。
関節リウマチの治療について
治療の流れ
* HP更新が遅れているため、最新の情報はEULAR/ACRからの報告を参照してください。
欧州リウマチ学会(EULAR)の推奨(2013年)
注:レフルノミド(商品名:アラバ)は日本においては間質性肺炎の発症率が高いために、一部改変。
Smolen JS, et al. EULAR recommendations for the management of rheumatoid arthritis with synthetic and biological disease-modifying antirheumatic drugs: 2013 update. Ann Rheum Dis. 2014 Mar;73(3):492-509.
鎮痛薬・ステロイドについて
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関節リウマチと診断すれば抗リウマチ薬(DMARDs)を開始しますが、効果が出現するのに2-3ヶ月かかるため、効果発現まではNSAIDsを併用します。
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少量ステロイド(10-30mg/日まで)をDMARDsの効果が得られるまで3か月をめどに使うことがあります。
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大きな関節が少数腫れている場合はステロイドの関節内投与を併用することもあります。
抗リウマチ薬(DMARDs)について
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初期治療の中心となる薬剤です。
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当院で使用しているDMARDsの例
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ロベンザリット(カルフェニール)、アクタリット(オークル、モーバー)は効果が弱く副作用も問題となることから当院では採用されていません。
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トファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ (オルミエント)は生物学的製剤と効果は同等でありますが、感染症(帯状疱疹を含む)や悪性腫瘍に注意することなどは生物学的製剤と同様で、併用薬に制限があり薬価も¥146,244/月と非常に高いことが問題で、多剤使用困難な場合に検討します。
いずれのDMARDsを使うかは効果・副作用・薬価を総合的に判断して決めていますが、メトトレキサート、サラゾスルファピリジン、ブシラミンを使う患者様が多いです。
薬の説明パンフレット
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メトトレキサート
投与前に一般採血に加え、胸部レントゲン写真と肝炎ウイルスチェック(HBs抗原、HBc抗体、HBs抗体、HCV抗体)を施行させていただきます。 日本リウマチ学会による「メトトレキサートを服用される患者さんへ」に詳しい説明があります。
参天製薬株式会社より以下の薬剤のパンフレットもダウンロードできます。
生物学的製剤について
効果が高く適応があれば積極的に使用すべき薬剤ですが、副作用(主に感染症)と値段の問題は常に考慮し、適正な使用が望まれます。日本リウマチ学会からは生物学的製剤の使用の対象者は以下のように定義されています。
1. 既存の抗リウマチ薬(DMARD)通常量を3ヶ月以上継続して使用してもコントロール不良の関節リウマチ患者。コントロール不良の目安として以下の3項目を満たす者。
1. 疼痛関節数6関節以上
2. 腫脹関節数6関節以上
3. CRP 2.0mg/dL以上あるいはESR 28mm/hr以上
2. さらに、日和見感染に対する安全性を配慮して以下の3項目も満たすことが望ましい。
1. 末梢血白血球 4000/mm3以上
2. 末梢血リンパ球数 1000/mm3以上
3. 血中β-D-グルカン陰性
生物学的製剤の特徴(2020.11更新ファイルはこちら)
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乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、腸炎関連関節炎ならば保険適応の問題からインフリキシマブかアダリムマブを使います。
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MTXの併用がなければインフリキシマブは使えません。トシリズマブはMTX併用なくても高い効果が期待できます。
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自己注射が可能な方は注射頻度・値段・効果から当院ではアダリムマブを選択される方が多いです。
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自己注射が不可能な場合は、インフリキシマブを使用すれば2ヵ月毎の通院で済みますが(これは高額療養費制度を用いた場合に大きなメリットとなります)、投与時反応の問題から1回あたり数時間の注射時間がかかります。ゴリムマブ、トシリズマブ、オレンシアは1ヵ月毎の注射ですが注射時間は比較的短く済みます。
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感染症を起こしやすい高齢者では少量エタネルセプト(25mg/週)やアバタセプトを選択することが多いです。
高額療養費制度については厚生労働省のホームページを参照下さい。当院受付でもご説明させて頂きます。
合併症のある方、妊娠中の治療選択肢
あくまで一つの目安ですが、以下のような選択肢があります。
肝障害の簡単な目安としてトランスアミラーゼが正常上限2倍以上や肝硬変があれば△の薬剤も投薬を見合わせる。
実際の使用にあたっては有用性と有害性を十分勘案の上、投薬を行う。
メトトレキサート使用中にASTやALTが正常上限の3倍以内の上昇であれば投与量調節や葉酸増量、3倍以上に上昇した場合は葉酸の連日投与が目安。
アザチオプリン、メトトレキサートは遺伝毒性から男性パートナーも避ける必要性があるとされるが真偽は不明ともされる。一方、シクロホスファミドやサラゾスルファピリジンは無精子症をきたしうる。