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関節痛の診かた
関節が痛い=関節リウマチではありません。軟骨がすり減って起こる変形性関節症でも関節は痛くなりますし、インフルエンザでも関節は痛くなります。どのような関節痛が関節リウマチや膠原病を考えるべき関節痛なのかを考えていきます。
年齢と性別による原因
まず、年齢と性別で起こりやすい疾患は異なります。もちろん例外はありますが、想定すべき疾患を絞ることができます。
図:年齢と性別による疾患分類イメージ
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関節内かどうか
関節が腫れていても、関節周囲の浮腫、滑膜炎、関節内液貯留、骨変形などいろいろな原因が考えられます。これらを鑑別することが関節の診察で大切になります。
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関節炎かどうか
関節痛なのか関節炎なのかの見極めは非常に大きな意義を持ちます。関節炎であれば診断が多岐にわたり、内科的疾患が多数含まれます。炎症とは発赤、腫脹、疼痛、熱感、機能障害を指しますが、関節においては以下のような特徴があります。
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関節炎の分類
通常、5か所以上の関節炎を多発関節炎、6週間以上の関節炎を慢性関節炎と呼ぶ。急性単関節炎では外傷、化膿性関節炎、結晶性関節炎を考える。慢性多発関節炎では関節リウマチを考えるが、脊椎関節炎やSLEなどの膠原病を鑑別する必要性が高い。急性の多発関節炎ではウイルス感染を疑う。移動性関節炎では淋菌性関節炎とリウマチ熱から考える。間欠性関節炎では結晶性関節炎のほか回帰性リウマチや関節リウマチの初期を考えるが家族性地中海熱の事もある。
図:関節炎の発症様式のイメージ
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罹患関節の分布
罹患関節の分布によってある程度のパターン認識が可能です。
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1MTP関節炎は痛風発作に特徴的である。
痛風は温度が下がる末梢関節(手指関節、足趾関節、足関節、膝関節)に起こりやすいが体軸関節や股関節・肩関節に起こることは通常ない。
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図:関節リウマチと変形性関節症の好発部位の違い
CM:第1手根中手関節 DIP:遠位指節関節 PIP:近位指節関節 MCP:中手指節関節 PIP:近位指節関節
それ以外に診断に重要な問診
・ 関節が障害されていれば変形性関節症と乾癬性関節炎を考えるが、MCP関節が障害されていれば関節リウマチを考える。
・ Raynaud現象、手のこわばり、口内炎、乾性咳嗽、息切れ、胸焼け、乾燥症状、脱力、筋肉痛