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ワクチン接種

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  • 当院では成人のワクチン接種を行っておりますが、中学校以下の方に対するワクチン接種は行っておりません。

  • インフルエンザワクチン:65歳以上の人や肺や心臓病、糖尿病のある人、受験生などは11月~12月に接種をお勧めします。重症な卵アレルギーの人は接種ができません。

  • 生ワクチン(麻疹・風疹・ムンプス・水痘)接種後は4週間、他のワクチン(インフルエンザ・B型肝炎・肺炎球菌など)接種後は1週間、他のワクチン接種ができません。そのため当院では複数のワクチン接種が必要な方は同時接種を行っています。

  • 妊娠を考えている方は、風疹の抗体検査を行い必要に応じてワクチン接種を行うことが望ましいともされます(ワクチン接種していても十分な免疫がついていないことが5%以上であるため)

  • 風疹の場合、1977年~1994年までは、女子中学生のみが定期接種の対象者であったことから、当時の男子中学生は風疹ワクチンを受けていない人が多く存在します(1962-1979年生まれの男性)。

 

肺炎球菌ワクチン

  • 平成27年度から平成30年度までは、該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方と、60歳から65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方は定期接種の対象となります。その場合の費用は一般:4,000円、市民税非課税:2,000円、生活保護受給者:無料になります。

  • 免疫が付きにくい免疫抑制者の場合は上記の定期接種に用いられるニューモバックスに加え、自費となりますがプレベナーの接種をお勧めします。ニューモバックスは5年以上経過した場合には再接種することが可能ですがこの必要性については議論があります。

    • 2種類の肺炎球菌ワクチンをどのように接種するかはまだ明確なデータが乏しいですが、免疫機能が正常な成人では、どちらを最初に接種しても、2つのワクチンの間隔は少なくとも1年空ける。免疫抑制状態の成人では、13価ワクチン接種の8週間以上後に23価ワクチンを接種すべき、またすでに23価ワクチン接種していれば1年以上後に13価ワクチンを接種すべきという報告があります(Ann Intern Med 2016 Feb 2; 164:184.)。

 

ワクチン投与経路

  • 皮下注射:インフルエンザやDPT・日本脳炎や生ワクチン(麻疹・風疹・ムンプス・水痘)は添付文書に従い皮下注で行う。

  • 筋肉注射:プレべナー13、ニューモバックス、B型肝炎(10歳以上)、A型肝炎。プレベナー13は添付文書で筋注となっている。不活化ワクチンの一部(ニューモバックス、B型肝炎(10歳以上)、A型肝炎)は皮下注でも筋注でも投与可能ですが、原則として免疫応答が起きやすい筋注で投与を行っています。

 

ワクチン接種における注意事項

  • ワクチン接種後は激しい運動を避けてもらいますが、熱が無ければ入浴してもらってかまいません。

  • アレルギー反応として、注射部位が腫れたり熱がでることがありますが、麻疹ワクチン7-10日後に発熱や皮疹が、風疹ワクチン2週間後に発疹・リンパ節腫脹・発熱・関節痛が、ムンプスワクチン2週間後に発熱、時間遷延、髄膜炎(頭痛・嘔吐)が出現することがあります。水痘・帯状疱疹ワクチンによる副反応は稀です。

  • 成人女性では、風疹接種後は8週間、麻疹・おたふくかぜ・水痘は4週間、避妊してください。

  • ポリオワクチン:昭和50-52年生まれの人(昭和48-49年生まれでも母子手帳で確認し51-53年にワクチン接種している人)はできるだけ3回目の接種を薦めます。

 

 

抗体価によるワクチン接種の是非判断

 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版より引用

メモ:抗体の種類選択について

 

  • 感染予防効果があるかどうかの判定にCF法は一般的に推奨されない(ワクチンのための有効抗体価の判定は、感染症の診断とは全く異なる基準であることに留意する)。

  • 麻疹においてはNT法の信頼性が高いが、1週間かかる。HI法は3日間と速いが感度が悪い(ワクチン接種後の判定には6週間以上あけてHI法を用いるが3-5年以後は陰性化しうる)。ELISAも3日間と速く感度も高いが、陽性基準が不詳で保険点数が230点(前二者は80点)と高い。PA法は感度が高く非常に有用だが保険適応外検査である(保険適応となれば最適な可能性がある)。

  • 風疹はHIで8-16倍、EIAで8.0未満はborderlineと判断する(平成26年2月厚生労働省事務連絡)

  • 麻疹や風疹は1回のワクチンで95%の症例で有効な抗体価が得られるが、まれに2回接種しても有効な抗体価が得られないことがある。この場合は確実な接種歴が確認できれば有効な免疫を有すると考えてよいとされる(国立感染症研究所感染症情報センター医療機関での麻疹対応ガイドライン(第四版))。

  • 水痘の場合、IAHA法は最適な方法であるが保険適応外検査である。

  • ポリオの場合、成人であれば型の抗体価は無視してもよいが、小児では1、2、3型全てに抗体価が必要である。

 

HBVワクチン(ビームゲン®、ヘプタバックス-II®)

  • 成人の場合1回10μg(0.5ml)を0, 1, 6ヶ月目の計3回(1コース)が標準的な接種法。

  • 免疫正常者の場合、1コースでおよそ95%が免疫獲得に成功します。

  • ワクチン接種の1-2ヶ月以降にHBs抗体≧10mIU/mL(ELISA法)であれば免疫獲得と判断します。

  • 免疫獲得していない場合、1回の追加接種で25-50%が、2コース目完遂で44-100%が免疫獲得に成功するため(MMWR Recomm Rep. 2006;55(RR-16):1-33)、2コース目までは接種を薦めています。

  • 2コース(計6回のワクチン接種歴)にも関わらずHBs抗体<10mIU/mLの場合は、HBsAgとHBcAbをチェックしてHBV感染者でないことを確認した上で、nonresponderと呼ばれます。

  • nonresponderに対しては、高用量(40μg)で1コース追加する方法もありますが(J Infect Dis 1997;175:678-81)、一般的にはnonresponderに対するさらなる追加接種は推奨されていません(MMWR Recomm Rep. 2013;62(RR-10):1-19)。

  • HBV暴露後予防:

    • HBs抗体のない人(HBs抗体<10mIU/mLの人)がHBsAg+の血液に暴露した際、標準的な対応はHBIG 1回投与と1コースのワクチン接種(院内マニュアル参照のこと)

    • nonresponderの場合はHBIGを1ヶ月間隔で計2回接種(MMWR Recomm Rep. 2013;62(RR-10):1-19)。

 

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