Warfarin use and the risk for stroke and bleeding in patients with atrial fibrillation undergoing dialysis.
Circulation. 2014 Mar 18;129(11):1196-203.
カナダはケベックとオンタリオにおいて1998-2007年に心房細動が主病名もしくは第2病名であった65歳以上の入院患者。後ろ向きコホート研究により退院30日以内にワルファリン投与されたかどうかで予後がどのように変わるかを調べた。透析患者1626名、非透析患者は204,210名。透析患者の46%がワルファリンを受けていた。
患者群:年齢層高い! 当院と同じぐらい。HAS-BLEDが3点以上なのが透析患者では85%、非透析患者では25%ぐらいと大きく異なるのも実臨床を反映していそうだ。
ざっとみたところ、透析患者では脳血管障害が、非透析患者より1.3倍起こりやすいのは理解しやすい。しかし透析患者に限って言えばワルファリン投与群のほうがむしろ脳血管障害発症率が高い傾向すらある。出血は 非透析患者ではワルファリン投与してもリスクはさほど変わらないが、透析患者では非透析患者よりも2倍出血しやすく、ワルファリン投与群では特に顕著だった。
HRで示すと以下の通りで非透析患者ではワルファリンで脳血管障害を2割強予防できるが、出血は2割弱増えるため、CHADS2スコアなどで適切な患者選別しようということになります。一方、透析患者ではワルファリン投与しても脳血管障害は減らず、出血だけが増えるという結果でした。これはPropensity scoreを用いた解析でも結果は同じでした。
過去の報告を見ても、透析患者ではワルファリンの恩恵は乏しいことが分かります。
出血リスクは微妙です。もしかしたら今回の研究ほど害はないのかも知れませんが結論付けることはできなさそうです。
所詮は観察研究ですので最終的な結論を下すには今後の介入研究が必要ではありますが、少なくても心房細動→抗凝固療法という短絡思考はやめた方がよいということですね。