The efficacy of ursodeoxycholic acid and bezafibrate combination therapy for primary biliary cirrhosis:
A prospective, multicenter study
Hepatology Research 2008; 38: 557–564
【背景】
PBCで特に肝硬変にまだ進行していない患者群にUDCAを長期投与することで、肝移植せずに生命予後が改善することがいくつかの研究で示されてきたが、全ての初期のPBC患者にUDCAが効果があるわけではなくstageⅠ〜ⅡのPBC患者の2割がUDCA療法にも関わらず肝硬変に進行してしまう。
ベザフィブラートにより肝酵素が低下することが知られている。
ベザフィブラーとはperoxisomal proliferator-activated receptor (PPAR) を活性化したり、multidrug resistant gene 3 (MDR3) の発現を誘導して胆汁へのリン脂質の分泌を促進することで、疎水性の胆汁が胆道上皮細胞を障害することを防いでいる。
日本でベザフィブラート単剤、またはUDCAとの併用療法が検査値を改善し、IgMを低下させることが報告されているが、ランダム化もされておらず患者数も少ない研究であったため、前向きランダム化試験でベザフィブラート単剤またはUDCAとの併用療法がALPとIgMを改善するかについて調べることとした。
【研究デザイン】
Patients:
PBCと診断されており、UDCAを26週間内服していてもALPが正常上限の1.5倍以上ある人。
PBCの診断基準は病歴、検査結果より慢性の胆汁鬱滞性疾患であり、抗ミトコンドリア抗体が陽性もしくは抗ピルビン酸脱水素酵素複合体が陽性で、ALPが正常上限の1.5倍以上あり、胆道閉塞がないことが画像検査で証明されており高脂血症があること
除外基準はstudy参加の4週間以内にDペニシラミン、糖質ステロイド、コルヒチン、免疫抑制剤治療を行っている、肝硬変と診断されている、血清BIl>5、Alb<3、肝性脳症がある、胃、食道静脈瘤からの出血がある、利尿薬抵抗性腹水がある、腎不全、悪性腫瘍がある、妊婦、19歳未満
〈Study1〉
I:ベザフィブラート400mg単剤を52週間内服する群
C:UDCA600mg単剤を52週間内服する群
〈Study2〉
I:ベザフィブラート400mgとUDCA600mgを52週間内服する
C: UDCA600mg単剤を52週間内服する群
O:ALP,IgM値
【結果】
studyⅠではBF単剤は20人、UDCA単剤は25人
studyⅡではBF+UDCAが12人、UDCA単剤は10人
B型肝炎、C型肝炎の患者はいない。
2群で有意差のある違いはない
studyⅠ:
両群共に有意にALPを有意に低下させたが、両群間では有意差なし
ベザフィブラート群でALP は764.0±401.3 IU/L から340.4±162.4 IU/L,
UDCA group from 713±577 IU/Lから439.2±255.3 IU/L
ALT,γGTP,IgMの低下も有意差なし。総コレステロール,中性脂肪はベザフィブラートで有意差をもって低下
StudyⅡ
併用療法では52 週後にALP and g-GTP levels が有意差を持って低下している。(ALP, 50.2% 1 11.6% and g-GTP, 43.5% 1 21.4%)
【副作用】
study 1で二人の患者が腹部膨満感、下腹部痛を訴えたが症状の程度は軽微ですぐに消失した。
study 2で三人のベザフィブラートを内服している患者で血清CPKが上昇し,そのうちの一人は筋肉痛をともなったが、自然に軽快したため薬は継続した。
日本からの報告ですが,study designがいまいちなので,この結果をうけてじゃあ投与しようという気にはならなかったです.とは言え,やれることもあまりないのでウルソだめなら考えてもよいのかもしれませんが,意味ないかもしれないことは説明した上でになりますかね.