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血培採取の際の消毒方法

Comparison of Four Antiseptic Preparations for Skin in the

Prevention of Contamination of Percutaneously

Drawn Blood Cultures: a Randomized Trial

JOURNAL OF CLINICAL MICROBIOLOGY, May 2002, p. 1660–1665

血液培養のコンタミネーション防止目的に多数の消毒剤が使用されてきたが、

その相対的な効果は評価されていない。そのため、大学病院の救急外来・病棟

においてrandomized,crossover,investigator-blinded studyを行い、4つの消毒剤

の効果を比較評価した。全患者の血液培養は経皮的に採取された。

皮膚消毒剤は10%イソジン、70%アルコール、ヨードチンキ、イソジン+70%

アルコールを用い、それぞれの血液培養コンタミ率が評価された。12か月の研

究期間に採取された12692の血液培養の内、333(2.62%)がコンタミネーショ

ンであった、また、その一年前に採取された12859の血液培養の内

、413(3.21%)がコンタミネーションであった。

10%イソジン、ヨードチンキ、70%アルコール、イソジン+70%アルコールのそ

れぞれの血液培養コンタミネーションン率は、2.93、2.58、2.50、2.46%であり

有意な差は指摘できなかった(アルコールを含むものvsイソジンでは統計学的

に優位にアルコールを含む消毒剤でコンタミ率が低かったが)。

簡便さ、コスト、忍容性を考慮するとアルコールが最適な消毒剤かもしれない。

A randomized, crossover, investigator-blinded study.

Patients

バージニア大学で血培を採取された患者.NICUを除く.

Intervention

病棟ごとで4つに分けて,それぞれ4つの薬剤;ヨードチンキ,70%アルコール(アル綿と同じ),いわゆるイソジン,Persist(ポピドンヨード+70%アルコール)を12週間ごと使用し,2週間のwash out期間を置いた上での血液培養を採取された患者.cross overですべてのgroupがすべての消毒薬を使用する.

Screen Shot 2015-05-16 at 13.12.36.png

培養採取のやり方は上記の通り.”不潔手袋”,”織布なし”.マスクや帽子は記載無し.マスク位はしましょう.

当院では,数年前よりアルコール綿で3回拭いて採取しています.

あまり他の病院には詳しくないですが,最大限やるとすると”イソジン”,"清潔手袋","穴あき織布”となるのでしょうか.さすがにガウン着ていると聞いたことはありません.

Control

それぞれを比較する.

Outocom

contamination率.

contaminationの定義は以前の文献(Ann. Intern. Med. 1999; 131:834–837, Am. J. Clin. Pathol. 1993; 99:536–538)を元に決定し,皮膚常在菌が1本のみ陽性であった時.

割りつけ

cross overなのでなし.

wash out期間は2週間で十分と考えられる.

季節性はあり得るが,後に検討されている.

目隠し

評価者のみ.

適切に評価されているか.

ITTという言葉はないが,12692例がinclusion criteriaに合致し,すべて検討されている.

sample size

4つの消毒薬のうちどれか2つで,4%-->2%のcontaminationの減少を検出するのにβ=0.2, α=0.008(計算上6つ評価することになるので,概ねいい感じだと思いますが,あまり統計詳しくありません)

Results

Screen Shot 2015-05-16 at 13.22.08.png

消毒薬ごとでは,有意差は認められなかった

グループ間では有意差あり.ERがコンタミ率高い様です.こうなることを予想してcross overにしたと記載があります.

また,季節性のような傾向は認められませんでした.

ちなみに,前もって言っていないのでずるいですが,いわゆるイソジン(PI,アルコール含有なし)群とそれ以外の3群(すべてアルコール含有)を合わせたものの比較では,有意差をもって(P=0.006)イソジンがコンタミ率が高かった様です.

興味深いのはstudy前に1年間のコンタミ率も観察していて,totalのコンタミ率が3.21%-->2.62%(RR=0.82, 95%CI; 0.71-0.94, p=0.006)と明らかに減少していました.

コンタミの菌としては,CNSが76.8%で,その他はPropionibacterium, viridans, Bacillus, Corynebacterium, Micrococcusなどでした.

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コストは,コンタミ陽性に伴う医療介入なども含めてイソジンで0.108 $/1培養,アルコール 0.0492 $,ヨードチンキで0.525 $,Persistで0.58 $でした.

クロルヘキシジンがイソジンに比して良いことが示されていますが,これは,多くの研究で言われているようにクロルヘキシジンには即効性のある殺菌作用はないので,クロルヘキシジンに含まれる67%アルコールによるとも言われているので,今回の結果はアルコール含有消毒薬の結果が良かったというのは矛盾しないかも知れません.

個人的な意見としては,消毒薬はやはりアル綿で十分かと思います.

差もないですし,清潔操作を加える事による血培採取率の低下,コメディカルがやってくれなくなる,コスト増などのデメリットも考えるとアル綿が良いように思います.

そんなもの,医者がちゃんとやればいいという意見も聞こえてきそうですが,人間だもの

さらに言えば,消毒薬より個人差の方が大きい気がします.

それから,studyをするとなっただけで,コンタミ率が低下したという事実から,消毒薬云々より意識の方が重要な気がします.新人も入ってきた今くらいの時期に年に1回くらいはみんなで講習を開くといいかもしれません.コンタミ率上がったら,清潔操作+クロルヘキシジンに戻しますよと脅されたら,それだけでコンタミ率減る気がします

抄読会では,鼠径部は5,6回拭いている or ダメ押しイソジンを加えているだとか,刺入部には触れないようにするため,針を寝かし気味にするとか,とりあえず皮膚を刺してから血管探るだとか,血が垂れないようにするための針を抜くときの陰圧はよいのかだとか,意外と盛り上がりました.みんなそれぞれ工夫をしているようです.

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