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デングワクチンの長期安全性

  • Y
  • 2015年8月8日
  • 読了時間: 4分

Efficacy and Long-Term Safety of a Dengue Vaccine in Regions of Endemic Disease

N Engl J Med. 2015 Jul 27. online first

本日は,僕の担当日なので読みたいものを読んでみました.

まずお勉強スライド.

左上がネッタイシマカ,右下がヒトスジシマカ.日本にいるのはこれ.東北地方にもいる.

だいたい温度の高いところに分布.サハラ以南のアフリカで意外と少ない.都市部が少ないせいもある.東南アジアやインドは人口過密地帯なので,都市部が多い.

鹿児島とかは気温だけで言ったら,流行してもおかしくない.今後の温暖化の予測も合わせると2100年には普通に蔓延国でもおかしくない.

マラリアは,京都では,平安時代から当院も近い湿地帯である右京区の,はやり病だったが,個人的には日本は都市化が進んでいるのであまり土着マラリアはでてこないのではないかと思う.

戦争マラリアとか特殊な状況なら,北朝鮮にマラリアがいることを考えると十分生じ得る.

現在使用されているワクチンのefficacyはこんなもの.efficacyとeffectivenessは別物.後者が実際の臨床現場での値.だから,基本的にefficacy>effectiveness.

ワクチンちゃんと打たない人とかも出てくるので.

蚊が媒介する疾患のR0(基本再生産数;R nˈɔːtと読む)は,計算するのは難しい.

しかし,数学モデルでは流行期における (過去に流行のない2002年のイースター島でのoutbreakは参考になる) R0は最大27近い.1を切っている論文もない.

outbreakを対称にしているからなのだろうが.

これなら流行し得るが,同論文でも早期の介入が,収束に有効であると結論づけている.

問題なのは4つあること.

ワクチンの後にDHFになるかどうか.

WHOも,ワクチンで逆に重症化しないかチェックするように言っている.

で,本題の論文.

スライドにもあったとおり,デングワクチンは,phse3のRCTが2つでていて,そのefficacyは56.5%( Lancet 2014; 384: 1358–65 ), 60.8%( N Engl J Med 2015;372:113-23.)とイマイチでした.

マラリアワクチン(RTS,S/AS01, N Engl J Med 2009;361:2209-20)やHIVワクチン(ALVAC, AIDSVAX, N Engl J Med 2009;361:2209-20など)と同様にそんなにうまくは行かないものです.

デングワクチンにはWHOからも言われている様に,ワクチン接種により重症例が増えないかという問題があります.要するに,最初から一度感染した状態になるので,secondary infectionと似たようなことになるかもしれないと危惧されています.

ですので,長期の安全性を確認することをWHOも推奨しています.今回のワクチン,CYD-TDVのrecommendationは2016年4月にWHOから公表されることになっていますが,ちょっと先読みしてみます.

phase 3のRCTであった,CYD14, CYD15,phase2bとその延長trialであるCYD23/57を合わせて評価しています.safety analysisとpooled efficacy analysis.

patientsにばらつきは有りますが,基本的に子供です.地域もバラバラですが,endemic areaです.

それぞれの元文献をみると,完全にSanofiのバックアップです.

今回の論文にもこんな記述があります.

The investigators collected the data, and the sponsor and the investigators interpreted the data and collaborated in the preparation of the manuscript. Representatives of the sponsor had complete access to the trial data and vouch for the completeness and accuracy of the data and the analyses. The nonsponsor authors had access to the statistical analyses but not to participant-level data, so that blinding in the ongoing trials could be maintained. The first draft of the manuscript was written by a medical writer who was employed by MediCom Consult and was paid by the sponsor.

臭い臭い.お金の臭いがします.

outcomeである重症デングは,入院例というhard outcomeになっています.

結果は以下の様なものです.

結論からいうと何ともいえないです.少なくとも減らした!!!とはいえません.増えた様に見える部分も有りますが,nが少なく信頼区間も広すぎるので何ともいえません.

post-hocではあるものの,9歳未満では重症デングが増え,9歳以上では減ったということにしたい様です.

一応subgroup analysis.

9歳未満と,baselineでseronegativeなnaive患者での入院例(comitteeが認めた重症例,およびDHF両方)が多い傾向にあった様です.

今年日本でデング熱が流行るかはわからないものの,これからは旅行者も増えており散発的に流行することは十分あると思われます.

で,患者さんがデングワクチンを打って〜!と来ても,この状況では打つ気には到底慣れません.もちろん公衆衛生的に疾患予防できるレベルでもないですし,旅行者でさえイマイチですね.

とは言え,他のワクチンも治験走っているので,10年もすれば,違うワクチンでいい結果がでて蔓延国に行く人には打っときましょうとなるかもしれません.

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