Comparative effectiveness and tolerance of treatments for Helicobacter pylori: systematic review and network meta-analysis
BMJ 2015;351:h4052
目的
ヘリコバクターピロリ菌除菌において、以前に推奨されたより新しい治療のレジメンの中で、副作用の少なく最も効果のある治療法を決定する。
デザイン
システマティックレビューとメタアナリシス
データソース
Cochrane Library、PubMed、Embase。データや言語の制限はかけない。
Studyの選定方法
違った成人のH Pylori菌除菌治療を比較しているRCTで全文が手に入るもの
結果
15565のstudyのうち143が含められた。14種類の治療法が適合できた。Efficacy outcomeの次の治療~7日間の同時投与、10日もしくは14日間の同時投与、10日もしくは14日の整腸剤追加投与、10日もしくは14日間のLVFXベースの3剤投与、14日間のハイブリット治療、10日もしくは14日の連続投与~がよい成績を示した。。耐用の面ではすべての治療法が耐用性に問題はなかった。しかし、7日間の整腸剤追加投与と7日間のLVFXベースの投与は特に副作用の報告が少なかった。
結論
H pyloriの除菌治療を比較した結果、7日間の同時投与、10日もしくは14日の整腸剤追加投与、10日もしくは14日間のLVFXベースの3剤投与、14日間のハイブリット治療、10日もしくは14日の連続投与がH pyloriの除菌の代替案として優れていた。
当院初のNMA: network meta-analysisのジャーナルクラブです.
最近,増えているので読み慣れておくのもよいかもしれませんね.
datebaseは,Cochrane, Pubmed, Embaseを対象にしている.言語は問わない.
H.pyloriのeradicationを対象としており,second line, third line, rescue, salvageとしての治療は除かれている.
対象患者は,14個の決めた治療が含まれている,
18歳以上,合併症がない,治療終了後4週間以上のfollow期間であること.full articleのみ,ITTである論文のみがentryされている.
論文自体の質は,Jadad scale, Cochrane Collaboration`s toolでチェック.
exclusionは,過去に除菌治療された患者,abstractだけ,治療期間が7, 10, 14日以外の者,letterなどは除く.
同一の研究が複数publishされている場合は,一番ちゃんとしたやつのみentry.
Primary outcomeはeradication.
Secondary outcomeはtolerance.
まず,pairwaiseのmeta-analysisをrandom effect modelで行って,Cochran Q, I^2でheterogeneityを見ている.
Funnel plotsも行っている.
pooled dataをベイズで分析し,NMAを行う.(最近は,こういうのもベイズでやるんですね.RCTでは出てこないので,臨床推論の場か,よくわからない金融工学の世界のものと思っていました)
mean/median age, Jadad score, sex ratio, 観察期間,ピロリ除菌確定までの期間でmeta-regression analysisを行い,sensitivity analysisも行っている.
結果
Primary outcomeのnetwork
7 days bismuthと7 days LVFX以外は,標準治療より有意にeradication率が高い.
mixed analysisとdirect analysisとで,結果に差はなさそう.
Secondary outcome
Networkはこんな感じ.当たり前だけれど,Primaryより少し少ない.
7 days probioticと7 days LVFXでtorelanceが有意によい.但し,全体的にeventが少ないため,有意差が出ていないだけの可能性もある.
副作用のsubtypeに関する記載もあったけど,割愛.腹痛,味覚異常,頭痛,下痢で評価されていた.
まとめるとこんな感じ.
concomitant治療,10 or 14日間のprobiotic + 3剤, 10 or 14日間のLVFX based 治療,14日間 hybrid,10 of 14日間 sequentialあたりが,良いのではないかと結論づけている.
ただし,sensitivity analysisにおいて,n=50以下のstudyを除くと7日間concomitantの有効性は微妙になってしまっている.少なくとも,この治療のevidenceのRobustnessは十分とは言えない.
これの一番右上.確かに,気になる所.少なくとも7日間concomitant最高!とは思えない.
論文の信頼性はこんな感じ.
Funnel plotsはこんな感じ.
primary outcome
対称には見えないが,論文中では非対称ではないとまわりくどい表現をしていた.
secondary outocome
結局,保険適応の関係で現在の所は,副作用減らすためだけにprobiotics(たしか,lactobacillusが多い)を投与するくらいしかやることはない.当院ではやっている人の方が多い.
これを受けて,保険が変わる・・・かも知れない.
2nd lineでも治らない時は,考えてもいいが,この論文は1st lineとして集めているので,文脈が異なる.
まぁ,やることはあんまり変わらないけど,NMAを読んだので勉強になりました.