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AHA ACLS 2015

新しいガイドラインが出たので、走り書きですいませんが抜粋して紹介します。

院内ではバックグラウンドの論文も目を通した時点で勉強会しようと思います。

またPALSは省きます。

院内心停止と院外心停止では救命の連鎖が異なる事が推奨されました。まあ妥当なものですよね。

迅速対応チームrapid response teamや救急医療チームmedical response teamが一般病棟において心停止発生抑制に有用かも知れないとされたが、丸太町病院では看護師が気付いた些細な異常でもすぐに担当チームに連絡するようにお願いしており、総合診療科医師全員が救急医でもあるため、すでにそういったシステムであると思いたいです。

胸骨圧迫回数は100回/分以上から100~120回/分に変更となった。

私が知っているデータは下図の通り100~120回/分でもっとも予後が良い事が示されているため。

Crit Care Med. 2015 Apr;43(4):840-8.;

深さは5cm以上だったのが、5-6cmとなったが、これはダミー人形で練習しないと習得が難しいですよね・・・。

この深すぎる胸骨圧迫に注意を喚起する報告は1つだけで、

より重大なことはCPRをさせると不十分な胸骨圧迫となることのほうが多いことが多数の研究で示されている事と、

不十分な胸骨圧迫では蘇生率が下がることである。

Circulation. 2005 Apr 26;111(16):2134-42.

つまり「5cmは超えるべき、その上で6cm以上とはならないように気をつける」程度と個人的には思います。

CPRはCompression onlyではなく、訓練を受けた市民救助者が人工呼吸を行う事ができるなら30:2で人工呼吸を追加すべき、との記載のままである。

Compression onlyでも予後はむしろ良好という報告があったので、ここは変更されるか注目されていたが変わらなかった。

Lancet. 2010 Nov 6;376(9752):1552-7.

Circulation. 2013 Jan 29;127(4):435-41.

これは女性や高齢者ではCompression onlyでは圧迫が不十分となりやすいことによるのかも知れない。

BMC Nurs. 2009 Jul 7;8:6.

一方、院外心停止でショック適応者において受動的酸素吸入+気道補助用具挿入の上で200回の胸骨圧迫を最大3サイクル行うのは妥当とされた。

私なら10分間は胸骨圧迫の質は落とさないと思うので、街中でCPAに遭遇したら救急車到着(通常10分未満)までは一人でもCompression onlyと思います。

Acad Emerg Med. 2006 Oct;13(10):1020-6.

蘇生中の人工呼吸回数は8-10回/分だったのが10回/分と明記されたが、これは覚えやすいようにという配慮のようです。

バゾプレシンはアドレナリンに勝る利点はないため削除

その代わり、院内心停止に対してバゾプレシンをアドレナリンと同時に3回まで20単位を投与し、mPSL 40mgを追加すると予後がよいという報告からルーチン投与は推奨しないもののこれらの院内心停止に対する併用は妥当と記載された。4割の患者がICU患者であり副腎不全が相当数含まれていたのか?ちゃんと抄読会してもよいかも知れません。

JAMA. 2013 Jul 17;310(3):270-9.

蘇生開始20分後のEtCO2<10mmHgだと蘇生は困難 →これは当院ではルーチンで測定済

VT/VFからの蘇生後にはリドカインとβブロッカーの投与を考慮してよいという記載が増えた

蘇生後、昏睡状態にあるすべての成人患者に32-36℃から目標体温を選び、24時間維持する。

(保険適応は35℃以下12時間以上であり悩ましいですが、低体温維持のために筋弛緩かけるのも気が引けるので”患者に優しい36℃”が増えていくんでしょう)

その後積極的な発熱予防は妥当。

低体温療法を行った場合は復温後72時間してから予後判定とすると推奨

他には局所麻酔薬中毒であれば静注用脂肪乳剤を投与が妥当。他の薬物中毒でも標準的な蘇生治療が奏功しない場合には静注用脂肪乳剤;の投与が妥当とされた。

これには異論もありそうですが、状況が状況だけに何をどれだけ服用したか分からない薬物中毒では静注用脂肪乳剤投与は試みるべき、ということです。

妊婦で27-30度左傾斜側臥位とするのはずり落ちるし、力入らないしイマイチだったので削除され、用手的子宮左方移動のみの記載となった。

大動静脈圧迫症候群を起こしうるのは子宮底長がへそ上となるのが目安なので、それを参考に用手的子宮左方移動を行うことが明記(2010年にもこの辺りのデータはあったはずなんですけどね・・)。

小児では医療資源が限られる一部の状況において発熱性疾患のボーラス輸液負荷の危険性が記載されたが、これは医療資源が限られているという問題ではなく、マラリアが原疾患として多いためHb<5g/dLの人が32%もおり、Hb>10g/dLなのは23%しかいないという患者背景に特色があるんだ、ということは突っ込みどころとして思いました。

N Engl J Med. 2011 Jun 30;364(26):2483-95.

番外編としてアナフィラキシーにアドレナリン筋注をしても効果がない場合、救急隊到着が5-10分後になるなら2回目投与を検討してよいと記載されています。

参考までに筋注したときの血中濃度はしたの図の通りで、筋注は立ち上がりが早く10分後にはすでに血中濃度下がっています。

J Allergy Clin Immunol. 1998 Jan;101(1 Pt 1):33-7.

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