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視神経鞘エコーが蘇生後脳症の予後予測に有用

Sonographic Optic Nerve Sheath Diameter: A Simple and Rapid Tool to Assess the Neurologic Prognosis After Cardiac Arrest.

J Neuroimaging. 2015 Nov;25(6):927-30.

今までも多施設共同研究にはいくつか参加させて頂いていますが、丸太町病院総合診療科単独しては初めての本格的な論文が11月25日にPublishされました。

自分で批判するのもおかしいので、Reviewerからの指摘を批判的吟味とすると、症例数の少なさ(n=17)が最も重大な指摘でしたが、過去に報告がないため採用となりました。

頭蓋内圧が亢進すると乳頭浮腫が出現しますが、超音波検査では視神経鞘が開大することは外傷をはじめとして様々な病態で報告されています。表在プローベ(12mHz)を眼瞼の上から眼球に当てるだけで観察できます。健常者や予後良好な低酸素脳症では5㎜以下程度の視神経鞘が(A)、脳浮腫をきたすような予後不良な低酸素脳症では開大して観察されます(B)。

連続した心肺蘇生後の症例を17例でエントリーして解析しましたが、

予後良好群(Glasgow Outcome Scaleが4-5)と予後不良群では有意差をもって差異が得られました。

ROC解析でもなかなかの診断特性です。5.4㎜以下であれば感度83%、特異度73%、LR+ 3.1、LR- 0.23で予後良好と予測可能でした。。

他の検査(CT、MRI、体性感覚誘発電位(SSEP)、脳波、NSEなど)と比較したメリットは、以下の通りです。

1) ベッドサイドで検査が可能(低体温療法中でも血行動態不安定でも施行が可能)

2) 特殊な機器を必要としない(SSEPなどは施行施設限られる)

3) 結果がすぐに得られる(検査時間は1分。CT/SSEP/NSEと比べ有利)

4) 侵襲がない

5) 鎮静剤の影響がない(ただしCO2貯留の影響は受けうる)

Reviwerからは至適な検査タイミングについて聞かれ、Discussionに追記しました。12時間以内では偽陰性があったこと、12-72時間では明らかな診断特性の変化はなさそうであること(下図)、72時間を超えての評価は臨床的価値が限られることから心肺蘇生後12~72時間での評価を薦めましたが、繰り返し検査できることもメリットの一つなので興味ある先生がいたら、大規模な研究で複数回測定してみたら面白いデータがでるかもしれませんね。

最近、もう一つ臨床研究の論文Acceptされました。その論文についてはまた後日紹介します。

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