Comparative efficacy and safety of blood pressure-lowering
agents in adults with diabetes and kidney disease: a network
meta-analysis.
Lancet 2015;385:2047-56
背景:糖尿病性腎症の成人の降圧薬投与の有効性と安全性の比較に関してはいまだに議論
の尽きない点がある。我々はこれらの集団に対する降圧薬の安全性と危険性を調査した。
方法:世界の成人の糖尿病性腎症の成人に投与される降圧薬に関する無作為化試験のネッ
トワークメタ分析を行った。電子データベースで2014年1月までの成人の糖尿病性腎症に
対して経口投与の降圧薬を比較した試験を系統的に収集した。Primary outcomeは全死亡
率とESKDとした。Secondaryの安全性と心血管アウトカムも調査した。Primary outcome
とSecondary outcomeを調べるために変数効果モデルのネットワークメタ分析を行いこれ
らをオッズ比と標準化平均差で表した。SUCRA probabilitiesを用いてすべての薬剤を偽薬
と比較した効果をランク付けした。
結果:157のstudyと43256の患者が集まり、ほとんどが2型糖尿病と糖尿病性腎症であった
。偽薬と比較して死亡率を下げる効果のあった薬剤はなかった。しかし、ARBとACE-Iの
併用(オッズ比0.62、95%CI 0.43-0.90)とARB単剤(0.77、0.62-0.92)は偽薬と比較して
ESKDの発生を有意に減少させた。高K血症とAKIを増加した薬剤はなかったが、ACE-Iと
ARBの併用はこれらの有害事象に関して最もランクが低かった(高K血症→オッズ比2.69
95%CI 0.97-7.47、AKI→オッズ比2.69 0.98-7.38)
結論:糖尿病性腎症の生存率を改善させる降圧薬は存在しない。ACE-IとARBの併用、も
しくはARB単剤はESKDに対して最も効果的な薬剤である。ただし、ACE-IとARBの併用
による効果は、高K血症とAKIの危険性とのバランスをとる必要がある。
対象患者
18歳以上のDMかつCKDの患者.
検索
Cochran, Medline, Embaseで言語を限らず検索している.最低8週間のfollow-upされている論文.Hand searchingもしている.ちなみにあの論文達は入っていない.
pairwise meta-analysisとnetwork meta-analysisをrandom effect modelで行っている.
sensitivity analysisやinconsistencyの際の検討も行われている.
Primary outcomesは,全死亡と透析への移行.
副作用もチェック.
集まった論文はこんな感じ.
ACEとARBが多め.
結果.
とりあえず,pairwise meta-analysis.
全死亡は,有意差なし.
透析への移行はACE + ARB,ARB単独で有意差あり.ACE単独は,nが少ないからかもしれない.(めんどくさいのでACE-IはACEと表記)
network meta-analysisだとこんな感じ.
全死亡.placeboとの比較で有意差がついたものはない.
ランクとしてはACE + CCBが一番上.pairwiseと結果が異なるのはnの問題だろう.
こちらは,透析への移行.
ランクとしては,ACE + ARBが一番上.ACEは2番目.
ACE + CCBは調べられていない.
CCBとplaceboは有意差ついていない.
副作用の話.
まずは,pairwise meta-analysis.
AKIは,ACE + ARBで多い.
ACE + CCBは,少なくともAKIなりやすいという傾向はなさそう.
ETA受容体拮抗薬とか高血圧に使わないので無視.
AKIに関するnetwork meta-analysis.
ACE + ARBが最低ランク.意外とACEやACE + CCBのランクが高い.
その他のpairwise meta-analysis.
高K血症はACE + ARBで明らかに高いが,有意差はなし.
咳嗽はACEが入っていると有意差を持ってリスク増加.
ARB + CCBでも増加している.
MIがARBで有意差をもって減っている.ACEは有意差つかず.
network meta-analysis.
やっぱり高K血症はACE + ARBで最低ランク.アルドステロン拮抗薬,ACE,ARBもランク低い.
咳嗽は,ACE + CCBが最低ランク.意外にもARB + CCBがブービー.5位以内のうち4つがACEを含むregimen.
現在のとりあえずACE,二剤目CCBというスタンスは変わらない.
ACEが咳嗽なんかで使いにくい時にARB.
併用は検討してもいいが,その前にACEを最大まで使うことを検討する.