院内のメーリングリストで医学情報を流しだしてから800通のメールを超えました。
普段は個人情報等の問題から公開していませんが、関係ない内容なのでブログに掲載してみます。
Q:ニューモバックス接種1か月後に肺炎球菌性肺炎と思われる肺炎 尿中抗原は陽性だが、信用できるのか??
まず偽陽性で問題になる点は肺炎既往歴、類似菌種感染、肺炎球菌コロナイゼーションといったところと思います。
成人が肺炎球菌性肺炎に罹患すると、平均7.3週、最高12週間陽性が持続する
Nihon Kokyuki Gakkai Zasshi. 2003 Aug;41(8):521-5.
他には、 Streptococcus mitisとの共通抗原があるほかに、小児の鼻咽頭での保菌者でも72.2%で陽性を呈するという報告がある
J Clin Microbiol. 2007 Nov;45(11):3549-54
ワクチン接種で陽性になることはあるが、どのくらいの陽性率と期間なのか、ということを今回は議論になった。
ざっと検索すると、報告は3つ
1. もともと尿中抗原が陰性であった43人にニューモバックスを接種(HIV陰性の21人、HIV陽性の25人)し、2日後に陽性化したのは0人、7日後に陽性化したのは1人のみ。
Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2004 Dec;23(12):927-9.
2. 75-97歳の高齢者10例にニューモバックス接種し、1日後に3例で陽性、7日後には全例で陰性。
J Am Geriatr Soc. 2008 Jan;56(1):170-1.
3. 21人の幼児に対して、結合型ワクチン(プレブナー)接種し1,3,6,9日後に尿中抗原陽性化した症例はなし。 Pediatr Infect Dis J. 2001 Sep;20(9):912.
つまりワクチン接種による尿中抗原陽性化は以下の通り
ニューモバックス 1-2日後:3/53例(6%) 7日後:1/53例(2%) プレブナー 1-9日後:0/21例
結論:(データは乏しいものの)ワクチン接種による尿中抗原陽性率は低いし、1週間程度で陰性化すると推測され、臨床的に問題となることは少ない(と
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