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アセタゾラミドは,挿管されたCOPD患者に有用ではない.

Effect of Acetazolamide vs Placebo on Duration of Invasive Mechanical Ventilation Among Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease A Randomized Clinical Trial

JAMA. 2016;315(5):480-488.

時々,おまじない程度でアセタゾラミドをCOPD患者に投与しますが,挿管患者において本当に有用か?という論文です.

結論から言えば,おまじないのお薬.

害が少ないし,高くはない薬なので,やってみてもいいと思う.

しかしながら,機序ははっきりしないし,頻度も極めて低いが,ダイアモックス負荷試験(500~1000mg静注)で死亡の副作用もあるので,必要ないなら投与しないという意見ももっともだと思う.

Patients: 18歳以上の挿管されることになったCOPD患者(ATSのcriteriaに沿って診断)

Exclusion criteria: いろいろあるけど,どれも妥当.

Intervention: 代謝性アルカローシスが存在していれば,アセタゾラミドを 500mg or 1000mg(ループ利尿薬併用下)を2回/日を投与.最大28日間.

Control: 生食

Primary Outcome: 人工呼吸器の使用期間

Secondary Outcome: いろいろあるけど重要なのは,抜管成功率,ICU滞在日数,ICU死亡率,副作用

study

多施設double-blind RCT

目隠しは,患者,care giver, 評価者

割り付けはcomputer based

weaningやSBT,抜管protocolも決められているが,他の治療は,原則医師に委ねられている.

評価はITTで.

sample sizeは,人工呼吸器使用期間が12日(標準偏差5日),15%短く出来ると見込んで,α=0.20, β=0.05でn=380必要.

結果

予定通り集まった.per-protocol analysisする際には結構脱落している.

背景は,プラセボ群でステロイドや利尿薬使用されていた患者が多い印象.

市中肺炎が半分弱.

左心不全はアセタゾラミド群で多い.

Primary outcomeは,有意差なし.-16時間(-36.5時間〜+4.0時間)

HCO3-濃度やpH,P/F比などのどうでもいいものは有意差ついたが,

他のものは全く差無し

Per-Protocol analysisでも同様の結果.

抜管できた患者のKaplan-Meierも,有意差なし.

Subgroup analysisでも,有意差なし

副作用は,6例 vs 7例.当然有意差なし.内容の記載がないため評価できない

ダイアモックス 500mg注射用 651円と意外と高い.一日1300円から2600円

nを集めれば有意差でるとは思われるが,所詮16時間ほど抜管を早める程度

むしろ実臨床では,抜管が遅れる傾向があるので,チャンスがあればちゃんと抜くということが重要.

また,今回は市中肺炎が半分ほど占めていたが,他の気管支炎や左心不全などは,そもそもNPPVじゃダメだったのか?という疑問も残る.

所詮は,おまじない程度の薬という判断になる.

だれが言ったか知らないが,「Primum non nocere まず,害のあることはしない」という言葉もあるし,それはそれで妥当である.

しかし,個人的には,総合診療科の中には,positive dataには,やたらめったら厳しく(というか,統計学的なことを無視して言いがかりの様に)批評し,negative dataに関しては,すんなり受け入れているという不自然な傾向がある場合がある様に思う.

バイアスと言う意味では,間違っているとまでは言えないスタンスではあるが,何ごとも謙虚に,あるがままに受け入れるのが良いのだろう.

「Cogito ergo sum 我思う故に我あり」と言った,デカルトの「De omnibus dubitandum 一切を疑うべし」という姿勢は,当然negative dataにも向けられるべきである.

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