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講演会報告:第15回中国地区身体疾患とストレス研究会

昨日、広島で上記講演を行いました。今回は記念すべき?最終回だそうで、会も盛り上がっておりました。

私は教育講演として「身体から精神を診る~目からうろこのエビデンス~」を講演しました。その内容は割愛します。

特別講演は東京大学 名誉教授 久保木富房先生による「身体疾患と不安・抑うつ」でした。興味深かった話がいろいろありましたが、一つとりあげて紹介します。

ホームズの生活変化ストレス尺度というものがあります。

これは米国人が色々なライフイベントに対してどれほどストレスと感じるかを平均点数化したものです。

300 点以上だと、とても強いストレッサーを経験。80%の人が近い将来に心筋梗塞やうつ病にかかる可能性があるとされます。 150 点以上で比較的強いストレッサーを経験しており、2人に1人が半年から一年の間に心身症になる可能性があることがわかっています。

このようにストレスがあると予後が悪いということは直感的にも分かると思います。

なお、日本人でも同じような研究があり興味深い報告を見つけました。 勤労者では配偶者の死や会社倒産が最大リスクでうなづけます。しかし会社を変わったり多忙による心身の過労は医者にはあまり当てはまらないかもません。私はそれよりも単身赴任のほうが耐えられません。

大学生では親友が死ぬよりも留年がストレスみたいですね。辛辣です。それならちゃんと勉強しましょう。試験より恋人との別離がつらいというのは青春を思い出しますねぇ。

主婦は夫の浮気・ギャンブル、子供の家庭内暴力、姑問題、ご近所トラブル・・・。ドラマですね。

これらの詳細(ランキングももっとたくさんあり、昇給や部活動のことまでリストがあります)は以下のURLから見れます。 https://www.niph.go.jp/journal/data/42-3/199342030005.pdf

逆に良いことがあった場合はどうでしょうか。 これはPositive psycologyという言葉があるそうでかなり研究がされている分野だそうです。

一つ取り上げてみると、アカデミー賞を受賞した人(実線)はアカデミー賞にノミネートされたが落選した人(点線)と比べると、3.9年も寿命が長いそうです。

Ann Intern Med. 2001 May 15;134(10):955-62.

自分の子供には長生きしてもらうために少し優しく接するようにします。

ただし当然これらのデータには補正しきれなかったバイアスが関与しうりますので鵜呑みにはできません。 (単純に考えて多くの職業では「成功者」=生活が安定=長い寿命となります) 極端な例を挙げれば、脚本家ではなぜか逆の相関(ノミネートされたが受賞しなかった人のほうが寿命が長い)があり、特殊なライフスタイルによるのかな?と考察されていますがよくわかっていません。

BMJ. 2001 Dec 22-29;323(7327):1491-6.

ところで研修医はどうなんでしょうか? もしかしたら優しく育てたほうが研修医個人の人生寿命は長いのかも知れませんが、当院では患者の寿命を優先して研修医は厳しく育てます(頑張れ!研修医達よ!)

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