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NSAIDs使用の潰瘍予防は,PPIとサイトテックはあまり変わらない.

Ulcer Prevention in Long-term Users of Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs

Arch Intern Med. 2012;162:169-175

サイトテックもPPIより悪いというわけではないものの,一日3,4回ということも考えるとコンプライアンス悪そうな高齢者では難しいかもしれません.また,副作用も馬鹿にはできません.もちろん妊婦さんには禁忌です.

Double-blind, multicenter placebo contorolled studyと書いてあるものの,サイトテックは一日4回投与であるため,blind出来ていません

Patient:

18歳以上の内視鏡的に胃潰瘍が確認された事のある,NSAIDsを内服1ヶ月以上内服している患者.

pylori感染,重症の胃潰瘍,GERD, H2ブロッカー内服は除外.予防なので当然といえば当然.

Intervention/Control

4群

placebo, サイトテック 200mcg QID, ランソプラゾール 15mg, 30mg.

Outcomes

Primaryといった感じの記載ではなく,なんとなく記載されている.

潰瘍の発生,腹痛,antacidの使用.

古い論文なのでしょうがないですが,イマイチです.細かい所を見ていきます.

割り付け

ランダム化の方法に関して記載無し.

目隠し

既に述べた様に,介入者,評価者blindされていると書いてあるが,サイトテックは内服回数の関係でバレている.

評価方法

Per-protocol, ITTを行っている.

他の治療に関して.

症状あるときにantacid tables(Gelusil 水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウム)が渡されていて頓用で使用して良い.他の抗胃潰瘍薬や,潰瘍を起こす薬は飲まない様指導されている.

sample size

12週間のfollowで,投与群で92%の予防を見込んで,10%のnon-inferiority margin,81%の検出力で,それぞれのarmに120例.

ただし,どのarmのどのarmに対する非劣性を証明したいのか記載なく意味不明.

統計解析

baselineの比較を検定してみたり,2群の検定であるCochran-Mantel-Haenszel検定を4群のそれぞれに行ったりとpoorなstudy.

ANOVAも,その後に検定すれば多重検定の問題が出てくるので正しいとは言い難いが,せめてANOVAにするか,本当ならp値を修正するのが妥当.

結果

こんな感じで,120以上集まっている.脱落除くと120切っているarmもある.

baselineは,問題となるほどの差はなさそう.

胃潰瘍再発はこんな感じ.

placebo以外は,効果がある.ランソプラゾールの用量効果はなさそうな印象.

十二指腸潰瘍も含めればこんな感じ.

いずれもplaceboとの比較では有意差がでて,それ以外は有意差なし.

実際には,P値が0.01未満とかなので,良いが多重検定の問題に関する記載は全く無い.

4C2で6通りも検定している.

非劣性に関する話は記載がなく,結局,非劣性marginを設けたのは何だったのかという...

他の主観的なoutcomesは以下の様なもの.

ここでは,ランソプラゾール群が良い傾向.ここでも検定し過ぎで,どちらかと言えばランソプラゾール30mgの方が結果がいまいちだったりと一貫性がない.

サイトテックは,他の全ての群と比較して(もはやめんどくさいので多重検定の問題は無視)有意差を以って他の群より副作用が多かった.多くが下痢,腹痛,嘔気などの消化器症状.

副作用で有意差でるなんて,よほどのこと.

結論

対象年齢が若く,われわれの患者とは合致しないのでなんとも言えないが,例え若くても

高い;サイトテック 200mcg(34.3円) *4,ランソプラゾール 15mg(31.5円 ゾロ) *1

内服回数多くてめんどくさい

ということも考えると,PPIで良いのかもしれない.

ただし,PPIも様々な副作用がある(最近出たのでおもしろいのは手がねちょねちょするという報告も)ので,そもそも本当にNSAIDsが必要なのかということをちゃんと考えることが重要.

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