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ANCA陽性は偽陽性か疑陽性か?

雑誌「Modern Physician」4月号の不明熱を切るという特集に記事が掲載されました。

当院で多い、「高齢者の不明熱」と「間質性肺炎」の症例を過去数年分振り返る良い機会となり私自身の理解も深まりました。

要旨は以下の通りです。

  • ANCA関連血管炎の肺病変としては肺胞出血以外にも、軽微な間質性陰影・気管支壁肥厚・小葉中心性陰影が高頻度で認められる

肺胞出血

  • 特に肺病変に比して発熱などの全身症状が強く持続する場合は、ANCA関連血管炎を想起すべきである(非特異的所見として見落とさないように)。

  • 高齢日本人のANCA関連血管炎では顕微鏡的多発血管炎が多い。

  • 顕微鏡的多発血管炎は肺以外の病変に乏しいこともある(肺限局型の顕微鏡的多発血管炎が存在するという考え方もある)。

↑ こういった症例は咳が目立ちますし、GPAやEGPAの可能性が高くなりますがMPAのこともあるんですよね・・・

  • 気管支拡張症ではANCAの偽陽性が多いが、時としてANCA関連血管炎を続発することもあり、肺以外の病変の存在に注意する

症例提示はまさにこういった症例でした。ちょっとマニアックだったかも知れませんが、大変勉強になった症例です。肺野病変は下のCTです。

びまん性汎細気管支炎の13%でMPO-ANCAが陽性(偽陽性) 慢性気道感染があると、bactericidal/permeability-increasing ANCA (BPI-ANCA)が陽性化する 気管支拡張症やびまん性汎細気管支炎患者で11-37年後にMPO-ANCA/p-ANCA陽性の血管炎を起こした報告がある 喀血した気管支拡張症患者で肺組織を切除することで術前には陽性であったBPI-ANCAとMPO-ANCAが陰性化したという報告もある → 慢性気道感染が存在する患者にはANCA関連血管炎は併発しやすい

何年も落ち着いていた気管支拡張症にANCA関連血管炎を合併し「不明熱」を呈しました。ステロイドで治療反応は良好でしたが、肺野病変だけはまったく変化がなく、この病変はANCA関連血管炎の原因であり、結果ではなかったと解釈しています。

血管炎は奥深いですね~~

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