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CA19-9偽陽性

  • U
  • 2016年6月15日
  • 読了時間: 2分

悪性腫瘍術後のフォローでCA19-9が100 U/ml超え増加中。 肺野にNTMとおぼしき陰影はある。 肺病変や膵炎、胆管炎、肝硬変、糖尿病などで偽陽性報告多い。若年女性では値が高いことやスクラルファートによる偽高値も報告がある) 疑陽性をまとめた報告は少ないが、参考になる論文が日本から出ていた。 人間ドック (Ningen Dock) 30(1), 22-29, 2015 人間ドック でCA19-9を測定した延べ32,508例中, 高値 ( >37.0U/mL)を呈した延べ790例のうち, 人間ドック高値後に計2回以上, 当院 ( 病院もしくは当センター)でCA19-9の再検を施行した 320例が検討対象。 8症例が癌であり、陽性適中率は2.5%のみであるので、検診異常でCA19-9が高値でも40人に1人しか本物ではない。

癌では値が高い傾向にはあるが、癌がなくても1559.6U/mlという著明高値のこともあった。

癌がない場合、異常値でも100U/ml未満のことが87.5%と多いが、逆を言えば1割は100U/ml越えている。

男性では著明な高値は少ない。

悪性腫瘍が見つかった症例ではものすごい速度で高くなる症例もあるが、マーカーの変動だけでは腫瘍を否定することは当然できない。

結論:腫瘍マーカーはどのように解釈すべきか明確な基準はない。悩ましい。 総合診療科が腫瘍を疑って測定することは皆無に等しいが、術後フォローなどでは本当に困る。 抗マウス・モノクローナル抗体や、ルイスA陰性者の輸血後に抗ルイスA自己抗体ができれば理屈上、CA19-9は高値となりうる。 日本人の5~10%がルイス抗原陰性とされるので、過去のCA19-9が著明な低値であれば、輸血後の偽陽性を疑うことはできるかも知れない。 研究施設ならばこういった症例の同定も可能だろうが、商業ベースの検査ではなんともしがたい。

 
 
 

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