知らぬものはいない、あの伝説の「赤本」の第6版が出版されました。 20年の年月を経て、累計15万部を超える大々ベストセラーが、4年ぶりに大改訂したそうです。
久しぶりに紐解きましたが、研修医時代にお世話になったその時の感動がよみがえりました。
序章にあたる「救急研修の具体的な目標」に、名古屋掖済会病院 北川喜己先生の記載が。なんと、研修時代の私のボスです。こんな記載は前版にあったかな?? 記載あれば自慢されていたと思うのですが。
その次に記載されている研修医当直心得。これを読むと、研修医時代に救急外来でイライラしていた自分が恥ずかしくなりますね。
肝心な内容としては 「頭痛・めまい」として記載されていた項目をそれぞれ独立させ、より詳細に記載。 また「失神・痙攣」の項目も大幅に書き換えられたそうです。 パッと見も以前より図表は増え、One point lectureも充実、ページ数は増えたと感じましたが、 必要な事が、よくもまあ、これほどコンパクトにまとめてられていると感心致します。
章末についている論文は参考論文ではなく、推奨論文なんですよね。だからどの文献をどうやって引用して作成されたかは分からない。だけどここに紹介されている論文よりずっと多くのエビデンスを踏まえたうえで、経験的にも重要なことをチョイスして記載されている。だから分かりやすいのかな。
Head impulse testなどは当時書いてなかった情報ですが、 この本に記載されたということは、もはや研修医にも広く知られる所見ということになりますね。
一方、頚椎XR側面の読影法などCTの普及で軽視されるようになってしまった分野に対する記載は残している。 これは個人的には林 寛之先生にPTLSでレクチャーしてもらった内容で、懐かしく感じてとても嬉しい。
これほどの内容を含みながら、それでいて、読みやすい。 エビデンスと臨床経験の両者をサラリとまとめあげたこの一冊は、いつまで経っても色褪せない本ですね。 それでいて、税別定価2800円って、素晴らしい 救急に興味があろうとなかろうと、すべての研修医に自信をもってお勧めする一冊です。
自分が研修医の時には何度も何度も読み直したこの本(第2版だったかな、確か)ですが、 忘れているのか、書き足されたのか、記憶にないこともいくつかありました。 斜め読みでは満足できない代物でしたので、今からもう一度読み直します。