21世紀適々斎塾 7月に参加してきました。 https://www.tekitekisai.jp/ まずは香坂 俊先生(慶応大学)のお話です。
AFFIRM試験、CHA2DS2-VAScスコア、COUAGE試験などの話を復習。 自分たちが普段していることが正しいと、大分安心させて頂きました。 心房細動に対する抗不整脈信仰、アブレーション信仰、心カテ信仰が崩れ去ってきている循環器領域。 こうやって考えると本当に激動の分野ですね。 ただし、COURAGE試験で安定狭心症に対して心カテせずに至適薬物治療群で予後同じという研究の1/3の症例がクロス・オーバーしており、つまり心カテ受けているそうです。 また、シンチで10%を超えると至適薬物治療よりもPCI/CABGの恩恵に与れる。 冠動脈疾患で行わなければならない至適薬物治療ABCDE Aspirin Beta-bloker/BP control Cholesterol/Cigarette Diet/DM Education/Exercise SOAPと、OOOPSの違い。 Objective(CXR), Objective(CT), Objective(血液検査)、Plan(方針決定)、Subjective(病歴確認) という順になると、Ooops!ということ。面白いなあ、これ。 2日目は心電図信仰への警鐘です。 心電図で何か見つかって良いことがあるより、余計なものが見つかる方が疫学的には多く、スクリーニングは高齢者などを除き推奨されなくなりつつあるそうです。 心拡大や心肥大は心電図より身体所見による心尖拍動の位置と大きさのほうが鋭敏。 見落としてはいけないのはACSとAfibのみ!(極論で語った場合) ST部分は再分極。外側から内側へ再分極していく(脱分極の逆)。だから前壁再分極なくなると後壁からの向かってくる電気信号でSTが上昇する。これは図表みないと上手く説明できないなあ。
aVLのST上昇はわずかでも有意と取れ。これ自分の朝レクで経験則として話をしていましたが、専門医の間では一般的な知識だったようです。今度から自信をもって教えよう。 心電図自動計測は横の変化には強い。ただし心房細動は1割ほど過剰に診断する。またQT延長も失敗することある。 縦の変化には弱いので、ST-T変化には最も注意。 地味だが見落とすな! QT延長。QTcだけではなく以前と比較し絶対値で60msec延長すればQT延長とみなす。 U波の新たな出現もよくない所見。V2-3の場合は”極悪U波”らしい。 心拍数は220超えると心拍出量が落ちてアウト(マウスは400までよいが、くじゃくは30らしい) VTでの房室解離は20-30%でしか見つけられない。 何を聞いてもスラっと答えが出てくる。 やっぱり凄い先生ですね。 2日目の午後は 循環器 再現! 神戸physical examination セミナー でした。
講師は室生卓先生(みどり病院)と阿部幸雄先生(大阪市立総合医療C) です。 FM電波を介して全員で聴診器をつけて実際に”聴診”しながら勉強しました。 こんな方法があるのですね。
私は、絶対音感はないですし、リズム感もないですし、必然的に音痴です。 そんな自分にでも、分かりやすいような、丁寧な解説でした。 これは、今度プライマリケア学会で行うセミナーの参考に大変なりました。 心雑音を分かりにくくしているのは多すぎる情報で 診るべき所見を絞って勝負する、そんなヒントを得ました。 ただし、大動脈二尖弁がトリッキーで見落としうるので聴診に限界はあるとのことでした。 Levineはほぼほぼ無視。 擬音としてはII音 か/た行 I音 だ行 IIpラ行 だから、 普通の心音はドキドキ。IIp亢進あればドッキリという訳。 覚えやすいネタです。 II音は難しい。病的分裂と固定性分裂の明確な区別は私には無理です。 3LSBでIIAとIIPのどちらの音が大きいか、も難しいなぁ。 やはり「心尖部や3RSBで聞こえたらIIp亢進」という判断が良い。 III音・IV音は「おっかさん」と「おとっさん」。
MRの時の場合III音を良く聴取するが、II音が聞こえないようになるので、一聞するとIII音がII音に聞こえちゃいそう。 IV音は音小さくわかりにくい。ん、ダッタ。
エコーでの左室流入血流波形を利用する勉強法は私のオリジナルと思っていたけど、違いました(笑)。
TRはひどくなると乱流ではなくなるので、心雑音が消える。その場合は頸静脈でV波、つまり収縮期陽性波を認める。この陽性波あればSevere TRでキマリ。
今回も充実した勉強会でした。