最近、薬の副作用について真剣に考えています。 不適切な可能性のある処方にはよく出会います。 でも、それは氷山の一角かも知れません。 今回はだれも気付いていない薬剤の相互作用を見つける方法についての紹介です。
一般の人が薬の副作用を疑ったらどうすると思いますか? ググりますよね。 だから検索エンジンのデータを使えばよいというアイデアです。 これならば、未知の副作用を検出する可能性があります。 Web-scale pharmacovigilance: listening to signals from the crowd. White RW, Tatonetti NP, Shah NH, Altman RB, Horvitz E. J Am Med Inform Assoc. 2013 May 1;20(3):404-8. マイクロソフト社のIE(と思われる)でGoogle, Bing, Yahoo!から2010年に検索されたデータを用いて解析 米国でもっとも売れている100種類の薬剤が対象。 そして高血糖を示唆する以下の所見とが同時検索されていないかを調べるという手順。
結果として、プラバスタチンだけではなく高血糖症状を同時検索する率[(a+c2)÷(d2+a+b+c2)]や、パロキセチンと高血糖症状を同時検索した率よりも、 プラバスタチンとパロキセチンの両者をキーワードに入れている場合は、高血糖症状もキーワードに含めている率[a/(a+b)]が高いことが分かりました。
disproportionality analysisでは2-3倍高血糖症状が起こりやすい可能性が示唆されています。
ちなみに高血糖症状で重要だったのは高血糖、多飲、多尿、過食だったようです。
臨床疫学データでも両薬剤併用は高血糖と関連があるという報告がされていますが Clin Pharmacol Ther. 2011 Jul;90(1):133-42. その後の研究では糖尿病発症の明確なエビデンスは得られておらず、
Ann Pharmacother. 2014 Jun 13;48(9):1172-1176 Curr Drug Saf. 2015;10(2):152-8
スタチン服用者は肥満が多く、SSRI使用者も消化管副作用が問題となる人は使われにくいなどの バイアスが入った可能性があります しかし、この研究の着眼点としては非常に面白いと思います。