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オーストラリアでは塩もパンも「iodized」


スーパーで一番安い塩を買おうとしたらデカい食卓塩しか置いてない。一番安いのは1㎏の袋入りだが、使いにくいので奮発して750gの商品を買った。なぜか2種類ある。緑色の「iodized salt」は人気のようで残りが一つしかないが、この「Ionized salt」ってなんだろう? オーストラリア・ニュージーランド地方の土壌はもともとヨウ素含量が少なく、日常的にその土地の食品のみを摂っているとヨウ素欠乏症になりやすい地域です。 そこで、1924年に食卓塩にヨウ素を添加することになったそうです。 WHOの推奨している食卓塩への添加量としては20-40ppm(塩1kg当たり20-40mg)です。しかし効果不十分なため1938年にはヨウ素の濃度を40-80ppmに増やしました。それでも食卓塩を毎日期待するほどは消費しなかったため、ヨウ素添加食卓塩では思ったような効果が得られなかったそうです。 そこで、2009年10月から、オーストラリアとニュージーランドのほとんどのパンにヨウ素が添加されることになりました。これにより1日約50 μgのヨウ素の摂取増加と見積もられています(ヒトの所要量は1日150μg程度とされています)。 これほどまでに地域によってはヨウ素欠乏というものが風土病として重要なことを知りました。 日本にいては現実感が全くありませんでしたが。 というのも、日本の食事摂取基準ではヨウ素の上限量(UL)は3,000μg/日(成人男女)としていますが、昆布などの海産物をよく食する日本人の食事からのヨウ素の摂取量は、500μg~3,000μg/日と推定されています。これって凄い数字ですね。頑張ってヨードを添加しても50μgかそこらで、日本人はその数十倍の摂取量があるのですから。 実際、私もヨウ素欠乏にはお目にかかったことがなく、遭遇するのはヨウ素過剰による甲状腺腫や甲状腺機能異常のほうです。 なお、日本ではヨウ素は食品添加物として認められていないので、製造・販売・輸入ができません。 そういった意味では貴重なものを見ました。(でも国際線機内食で塩があるとヨウ素添加塩だったりするらしいですので、知らずに食していることはあるのでしょう。)

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