日焼け関連でもう一つ。 多形日光疹(Polymorphous light eruption)は日光暴露から数時間~数日遅れて発症するかゆみを伴う丘疹・紅斑が数日~数週続くもので、sun poisoning, sun allergyとも呼ばれます。 写真は日光暴露後数日後に痒みで気づいた皮疹で、徐々に増悪してピークとなった日光暴露後1週間の時点での写真です。
多形日光疹は30歳までに発症することが多く、繰り返しますが加齢とともに改善しうります。 日光に当たりだしたときに起こるため、春に多く夏はむしろ減ります。またシンガポールでは1%、スウェーデンでは20%の頻度とされます。 遺伝的要因もあるとされています(J Invest Dermatol. 2000;115(3):467.)。IV型反応に近いことが知られていますが、一般人に起こるべく紫外線に対する免疫抑制が起こらないことが原因の一つとされているようです(Arch Dermatol. 2004;140(3):295.)、 私は学生時代は日焼けに慣れていたので発症していませんでしたが、部活から遠ざかり日光暴露に久しくなってから発症するようになりました。 なお、小児の耳介上縁にできるものはJuvenile spring eruptionと言われますが、これは男性に多いことを除き(多形日光疹は女性に多い)他の特徴は同じなので、連続した疾患と私は理解しています。 かゆみは時として強く、かゆみだけで皮疹がない亜型も報告されていますが(Br J Dermatol. 1988;118(1):73.)、全身症状を伴うことはまれです。
掻爬しない限り湿疹にもならず治癒する病気です。 多形日光疹はよくある疾患にも関わらず皮膚科でも見落とされることがあります(私は”かぶれ”と言われました)。 正確な診断をするためには、日光暴露から発症が少し遅れることを知っておく事が大切と思います。時期が合わない場合は、海外旅行や職歴(溶接によるUV-Cでの報告があったと記憶しています)も聴取すべきでしょう。 患者(大学時代の私)は日光暴露との関連性に最初は気づいていませんでした。 私の場合、発症してしまうと、1週間悪くなり、2週間でほぼ治癒することが多いですが、ステロイド塗布と必要に応じて抗ヒを服用します。 文献的には重症例にはプレドニゾロン25mg×7日間の有用性も報告されています(Br J Dermatol. 2000;143(4):828.)。
(図:ステロイドによるかゆみ(上図)と皮疹(下図)の改善)