オーストラリアのケアンズ市内では至る所に日焼け止めが売っている。さすがはグレートバリアリーフに近い街です。
さて、内科医も知っておくべき日焼けのミニ知識は個人的には2つ。 今回は1つ目。日焼け止めでかぶれる場合は、紫外線吸収剤ではなく、紫外線散乱剤を用いる。
紫外線吸収剤は効果が高いですが、有機物であり日光で化学変化を起こし皮膚への刺激が強く、かぶれる可能性が高いとされます。
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(UV-Aをブロックする)
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(UV-Bをブロックする。シリコン油との相性が良く使いやすい感触のためもっともよく見かける)
オキシベンゾン-3(UV-AもUV-Bもブロックする→SPF高い製品でよく見かける)
などが代表的な物質で日本国内で販売されている紫外線吸収剤の75%でこれらが配合されているそうですが、それ以外にも調べてみると、かなり多数の物質が知られています。 一方、紫外線散乱剤はノンケミカルとも表示されたりしますが、無機物で化学変化を起こさずに壊れないので効果長持ち、UV-A,UV-Bの両者をブロックというメリットがありますが、白浮きしやすく、べたつくことが問題で比較的マイナーな存在です。 代表的な物質としては酸化チタン、酸化亜鉛があげられます。 なお、両者を併用していることもあります。 さらに、紫外線吸収剤でもシリコンコーティーングすることなどで、かぶれにくいことを売りにしているものも増えました。一方の紫外線散乱剤もナノ粒子化して肌触りが良くなるなど改善されています。 このように一概には言えないものの、お肌の弱い方は紫外線散乱剤の使用を考えた方がよい、というのが昔から言われていることです。
なお、ケアンズでは10品目中9品目が紫外線吸収剤で、1品目が併用薬で、紫外線散乱剤単独商品はありませんでした(ケアンズ市内のお店を調べただけだけど)。 国内では紫外線散乱剤の製品も昔は数えるぐらいでしたが、今は簡単に手に入ります。 ということで、普段は日焼け止めを塗らないがバカンス等で塗りたい。でもお肌が弱い、という方は日本から紫外線吸収剤を持っていきましょう。また肌荒れで日焼け止めを使えない、という患者さんには紫外線散乱剤というのもありますよ、という助言ぐらいはしてもよいでしょう。 なお、めんどくさがり屋の私は、日焼け止めの頻回な塗り替えが面倒なので、ラッシュガードをできるだけ着用しました。 次に述べる”日焼けのミニ知識で知っておくべきこと2”の「PLE」にならなければよいのですが。