極論シリーズのDVDです。 きょく ろん 【極論】とは.つきつめたところまで論ずること。という意味もあるので、突き詰めた議論を展開していくシリーズ。 ピンクのスクラブがこれほど似合う人はいないかも知れない(笑)。 極論というより、正論という気もするが、ゆがんだ医学の世界に真っすぐな芯を通してくれるようなお話で、研修医よりも指導医のほうが勉強になるかも知れない。
第1回 なぜ極論が必要なのか? 微生物の「定義」と言われると確かに難しい。 個人的にはサナダムシの名前の由来は真田紐に似ていることによる、というのが面白かった。 第2回 あなたはなぜその抗菌薬を出すのか 抗菌薬を処方するとき、相対比較をしながら最適なものを特定することこそが、抗菌薬を選択するということ。 お薬屋さんの説明会がダメな理由は? (当院総合診療科では説明会などは一切禁止としています。お弁当と引き換えに失うものがあってはいけないので) 疾患名で1:1対応処方するな。その通り!。 第3世代セフェム内服の存在意義は??? 最近「大体”う〇こ”になる薬」とも揶揄されますね。 個人的には「受診したお土産として、抗菌薬でもいかが? はダメ」というようなフレーズが面白かった。 第3回 その非劣性試験は何のためか 飲みにくく副作用も多かったHIV治療薬。副作用が少なく、効果も非劣性であるから新薬が優れる、というのが正しい非劣性試験。 ただ効果が同等で、新薬なので薬価は高い、では非劣性試験の意味が分からない。 → 最近、こういった試験が多くてAbstractのConclusionだけで、読む気がなくなる論文が多いですよね。
第4回 急性咽頭炎の診療戦略のシナリオを変えろ!
Fusobacteriumが咽頭炎の原因となっているかも知れないという報告をうけても実は何も変わらない。 結局は検査は臨床所見に勝てない、ということの良い例ですね。 時間軸を味方につけて、診断をつけていくことの大事さ。
ペニシリンでやっぱり良いんだ、と安心。 第5回 肺炎・髄膜炎 その抗菌薬で本当にいいのか? 肺炎球菌がグラム染色で見えていても、カルバペネムを選択してしまう病院は日本でどれほどあるのでしょうか? 当院でそんなことしたら、翌日ボッコボコにされますが、岩田先生が説明すると、言葉の重みが違いますね。 髄膜炎のガイドラインでカルバペネムが第1選択、、、これも確かに意味不明。 第6回 CRPは何のために測るのか CRPがダメなのではない。それは極論というか極端。 他の指標をちゃんとみることが大事なんだ。 第7回 急性細菌性腸炎 菌を殺すことで患者は治るのか 私が抗菌薬を処方したことはここ10年間で、2例ぐらい。 いずれも菌血症もしくはその疑いだった症例だけです。 マクロライド処方して下痢をしてては本末転倒。 第8回 ピロリ菌は除菌すべきか そもそもはピロリ菌が感染しているのが「自然」だったのに やみくもに除菌するのはちょっと違うかも、と立ち止まり考え直す。 第9回 カテ感染 院内感染を許容するな カテーテルを抜去して解熱、改善すればカテ感染(CRBSI:catheter-related blood stream infection)と定義する日本のガイドライン。そんな定義だったのか。確かに矛盾だらけの定義だ。 米国では保険会社がCRBSIに払い戻しを拒否してからCRBSIは急激に少なくなったらしい。 減らそうと思えば減らせる感染症。 尿道バルーンもCVカテーテルも不要な人に要れていることが多すぎるのが現状。 当院の総合診療科ではCVやバルーン留置者は必ず私の回診でいちゃもんつけられるので無駄な留置はまれ。ただ今後の当院の課題は認知症に対する身体抑制かな。 第10回 インフルエンザ 検査と薬の必要性を考えろ 私は漢方薬はめったに使わないが、基本方針は同じで納得。 検査前確率が高ければ検査なしで、インフルの診断書を書く。 なんでもかんでもタミフルでは副作用が問題となるだけで薬剤の恩恵はほとんどなく、耐性菌、コストの問題も増えるだけ。
第11回 HIV/AIDS 医療者が知っておくべきHIV/AIDS診療の今 HIV/AIDSの診療は劇的に進化し、薬を飲み続けてさえいれば天寿をまっとうすることも可能となった。 難しい薬は専門家に任せておくとして、我々は当たり前の態度で接すればよいのだ。
感染症を学ぶ者というよりは、医学の正しい考え方を教えてくれるDVD。