講演会に参加したので以下メモ書きです。 まずは福知山市民病院の北川昌洋先生による「アンパンマンで考える敗血症の病態」でした。
これはスライドの作りこみ方が尋常ではなかった。ものすごく分かりやすい内容でした。小さな侵襲が重なると足し算ではなく、相乗効果で超えてはならぬ一線を超える2nd attack theoryに対して、イライラしているとちょっとしたことでキレる、という例えなど、とっつきにくい基礎的な話を非常に分かりやすく説明する方法が、大変勉強になりました。 私はショック患者の身体所見について話しました。 ちょっとスライド詰め込み過ぎたので早口となり、言い間違いが目立ちました。反省です。 最後は広島大学 志馬伸朗先生の「敗血症診療2016アップデート」です。
敗血症とは感染症に伴い生じる致死的臓器不全と定義され、SIRSは用いずqSOFA(意識変容、収縮期血圧≦100、呼吸数>22のうち2項目以上)を使うようになったこと、敗血症性ショックとは輸液組成にかかわらず、血管収縮薬を必要とするかつ、mBP<65かつ、乳酸値>2という定義の変更について分かりやすく解説頂きました。 感染症患者を救命するためのよりまともな病態定義である!。完璧な診断基準など存在しえない。早期認識して迅速治療するためのツール。 死亡率予測において、頻呼吸>22、平均血圧<65、GCS<12、低体温、乳酸、人工呼吸(Pplat>30)が残っていた。つまり体温測定は低体温がないことをみる。 感染症の疑い→qSOFA→SOFA→Shock評価というところにこだわりすぎず、感染フォーカス・病原菌推定を同時に行うべきである。 抗菌薬は国内(院内)ガイドラインを使うように書かれているようです。これは知らなかった。国内のガイドラインって参照していないですが、当院では院内アンチバイオグラムを使った院内コンセンサスはあるので、今迄通りでOKということでしょうか。京都医療センターでは詳細なプロトコール使用することで、カルバペネムに頼りすぎることなく、95%以上の適切な抗菌薬選択ができたそうです。 EGDTを否定したProCESS,ARISE,ProMIse試験では2000-2500mlの補液がされており、初期に30ml/kgの補液は当たり前の事として扱われていた事は知っておきましょう。 過剰輸液とならないように尿量0.5ml/kg/hにこだわりすぎないで良いのではないかと提言。 日本では補助療法としてIVIGは50%で使用している(使用施設数?)!!驚きです。使った事ないです・・・。 リコモジュリンはRCTで一度否定されているが、Phase IIIの結果が待たれる。 志馬先生のお話は物事の本質を捉えており、本当に大切なことは何なのかを考えさせてくれる、素晴らしいお話でした。