毎年恒例となった講義。 研修医になったときにうまく世渡りして欲しいと思いながら講義。 半分は自分の失敗例から学んだ話です。
内容はほぼ例年通り。 モラルも常識も人によって違うことを知らないと失敗するよ、という話。
例: 線路の先に5人の作業員。 ポイントを切り替えれば5人は救われるが、もともと犠牲にならずに済んだはずの1人が死亡する。
上記の設問にはポイントを切り替えて犠牲者を減らす人が多い。
ではこの線路の上の橋に太った人がいる。
この人を突き落として電車に轢かせれば電車は止まる。 (なお、自分は体重が軽いので自分が飛び降りても電車は止められない) 貴方は、この人を突き落としますか?という質問。
こうすると、突き落とすことに抵抗を感じる人が多い。
純粋に犠牲者の数だけを考えた理論派の人は上の二つの条件では意見が変わらないかも知れない。 自分の心に敏感な人ほど、突き落とすことに抵抗があるかも知れない。 どちらがよいという話ではありませんが、自分がどのようなモラルの偏りをもっているかを知っていると、バランスのよい考え方ができるのではないか、という話。
あとは実践編をいろいろしました。
面白画像の威力はあり、笑いもそれなりに取った。 幽遊白書のネタはもはやウケないが、スラムダンクは女性でも読んだことがあるようだった。
しかし、後ろで寝ている学生もちらほら。 モノで釣るのは犬のしつけと同じと誰かに言われてやめたが、昨年はお菓子で釣ったら答えてくれる人が多かったので、やはりそういった姑息な手段も必要なのかな。 自分が学生の時はあまり授業に出てないので、そのことを考えると文句をいう筋合いもないのですが、せっかく出欠をとって無理やり出席させるならば、皆が楽しめる内容としたい、と帰路で思い悩む。
「貴方の事を思って・・・」という言葉は「貴方」ではなく「自分自身」のためであることが多い。成人教育では、自分の知識・経験に思いあがることなく、「私ならこうすると思いますが、判断は任せます」という提案がよいという。
そう考えると出席するほうが勉強になると思わせることが大事であって、出席させることが大事なのではない、となる。
病院についたので、雑感はここまでとしますが、結局、モラルや価値観は人それぞれということか。