絶食するとき、食事を摂れないときに持効型インスリンはそのまま続ける。
ラマダンでなければGlargine26(13-60)単位使用中のI型DM患者における絶食のデータがあります。持効型だけ継続し、絶食時には即効型は中止するとちょうどよい血糖になるというデータですが、もし、今後研究するとしたら、倫理委員会を通すのが大変そうです。
Diabetes Care. 2004 May;27(5):1209-10.
そこでラマダンの時期のイスラム教徒の義務の一つ「断食(サウム)」のデータだったら絶食時の事がわかっているのではないかと思い、検索してみました。
なお、厳格なイスラム教徒はラマダン時期の日の出から日没までは食事、喫煙のみならず、経口薬も注射薬も控えるそうです。これは知りませんでした。
I型DM患者でインスリンポンプを使用していた15-19歳の患者5名をラマダンの1か月の間、持効型インスリンに切り替えた報告。もちろんインスリンポンプと持効型インスリンの違いはあるため単純比較ではいけないですが、ほぼインスリン使用量は変わっていません。
Curr Ther Res Clin Exp. 2009 Feb;70(1):29-34.
そして、South Asian Consensusからラマダンにおけるガイドラインもあり、持効型インスリンは同量継続となっています。
このガイドラインには即効型や中間型製剤の調節にも触れています。
Indian J Endocrinol Metab. 2012 Jul;16(4):499-502
J Pak Med Assoc. 2016 Jun;66(6):777-8.
ラマダンにおける内服薬の調節は以下のガイドラインが役立ちそうですが、今回の話から脱線するので別の機会に。
Diabetes Care. 2010 Aug;33(8):1895-902.
BMJ Open Diabetes Res Care. 2015 Jun 16;3(1):e000108.