急性腰痛症はその病態から「魔女の一撃」(独: Hexenschuss)とも呼ばれています。まさに魔女の所業を疑う災難という訳ですが、腰痛症に対しては一般的な鎮痛剤以外にも様々な治療が知られています。日本ではNSAIDs外用薬が広く用いられていますが、有用性を示す質の高い報告はありません。カプサイシン外用が慢性腰痛症に対して有用という報告[Arzneimittelforschung. 2001 Nov;51(11):896-903.]はあるので、温湿布を用いるほうが効果は高いかも知れませんが、かぶれやすい問題はあります。
ゴマ科の植物の1種であるHarpagophytum procumbensも腰痛症に有用という報告[Cochrane Database Syst Rev. 2014 Dec 23;12:CD004504.]があります。Harpagophytum procumbensはかぎづめのある果実をつけることが特徴です。
このかぎづめからdevil's claw(悪魔のかぎづめ)という呼び名がついています。ライオンの口にこの果実が絡み付くと、その痛さのあまり、餌をとることができず、餓死したことから「ライオンゴロシ」という名も付いています。
わざわざ取り寄せて使用するほどの有効性が証明されている訳ではありませんが、毒には毒を、魔女には悪魔を、という訳です。