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第20回松江臨床研修ネットワーク学術講演会 で講演しました

松江赤十字病院、松江市立病院の研修医を中心に集まって頂きました。

前半は症例検討会。

1)慢性経過の意識障害で来院した高齢女性の一例  大腿骨頚部骨折の既往があり、活性型ビタミンDを服用中。口渇・多飲・多尿あり。  採血で高Ca血症と腎機能障害。これで薬剤かと飛びついてはダメ。  貧血とTP/ALB解離もあるではないか。でもちゃんと救急外来で過去の頭部CT画像を骨条件にして確認しており、Punched out lesions発見!。

2)右側胸部痛で受診した50歳代男性の一例  本日比較的突然起こる胸痛。この”突然増悪”は肺炎随伴性胸水/膿胸でもよくありますね。  大酒家で口腔内診察と飲酒歴しっかり確認し、口腔内嫌気性菌までカバー。

私は「救急で役立つ高齢者と心因性疾患の身体診察」を話しました。 拙書のダイジェスト版です。

誰もが困っていそうなのに、ちゃんと勉強できる教科書がなく、適切な医療を受けられていない状況に今迄多々遭遇してきて、なんとかしたいと思っていた内容だったので、このように反響があり、講演にお呼び頂けるのは本当にありがたい事です。

さて、主催の松江赤十字病院は599床の病院で、  救命救急センター:15床  ICCU:8床  CCU:5床  NICU:6床  GCU:10床  人工透析:22台 と羨ましい設備を誇ります。

救急車の台数は6616例で、当院の2倍程度ですが、蘇生レベルが300人程度と重症患者の内訳が多いのが当院とは圧倒的に異なります。 当院の近くにも日本赤十字病院がありますが、重症患者を多数受けいれ、また当院で困った症例を快く引き入れてくれています。我々から見ると重症患者や災害医療に重きを置いた病院ですが、これらの病院でも高齢者救急の身体所見が重要なのですね。 また、精神科病床が45床あり私よりもよほど精神疾患にも慣れているように思いますが、措置入院・保護入院となるような方々で困ることよりも、日々の診療でよりよく遭遇する現実的な問題で困ることが多いのかも知れません。そのような症例に対して役立てばよいと思い、話をさせて頂きました。

講演会の最初にも言いましたが、高齢者や心因性疾患の診療は理解すれば非常に面白いのです。 今後もこの面白さを伝えていきたいと思います。

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