医学書院「総合診療」に2016年4月~2017年3月まで連載された「Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー! クスリとリスク」は日常診療で良く用いる薬剤の、比較的よく遭遇する副作用を取り上げ、適切使用を行うために必要な知識について、エビデンスに基づいて解説しました。今回はご好評いただきましたこの連載にいくつかの章を追加執筆し、単行本化することが決まりました。Amazonへはこちら。
残念ながら「風邪」の診断で抗菌薬が処方されていることが今だに止みません。医師免許を有する以上、ウイルス感染である「風邪」に抗菌薬を処方する意義はないことは知っているはずなのに、不思議な事です。
「分かっているけどやめられない・・」という理解に苦しむこの現象も、心理学の観点から見つめなおすと真実が見えてきます。そこで、行動経済学・社会心理学・進化心理学などの観点から不要な薬剤処方を減らすカギを探して、コラムにしました。
コラムのいくつかを抜粋して記載します。
・如何なる薬剤も安定剤代わりに処方するな (オペラント条件づけ/自己ハーディングについて)
・感冒保険がない理由
・双曲割引が副作用を割り引く (ディアゴスティーニがなぜ売れるか)
・せっかくの成功例も符号効果で失敗例と勘違い
・責任の所在は人それぞれ (ダイアナ元王妃の不幸な事故で悪いのはだれか?)
・薬を良いものと信じ込む3つの理由
・効かない薬をやめられない訳(保有効果とコンコルドの誤謬)
・EBMを優先させるべきとき、させないべきとき
・賢い選択は賢い提案から
・念のための処方ではなく、”念のための説明”をしよう
・選択枝があなたを縛る
・霊感商法とインフォームド・コンセント
・革新者は時代遅れ!?
・依存しているのは医者の方かも知れない
研修医の先生に読んで頂きたい本ではありますが、薬剤師や指導医の先生にも是非手に取ってもらい、服薬指導や研修医指導に役立てて欲しいと願っています。
3月30日に発刊予定です。是非、店頭で中身をご確認頂きたいと思います。