リン吸着剤のRCTに関するNetwork Meta-analysisです。
Am J Kidney Dis. 2016 Nov;68(5):691-702.
日本でのSevelamerは塩酸塩製剤しかなく、Acidosis起こすため透析患者には使用できません。このような注意点はあるものの、論文に書かれていることをまずはざっとまとめます。
まずPrimary outcomeの死亡率。カルシウム製剤は死亡率が高い。有意差があるのはSevelamerがカルシウム製剤よりも勝るという結果だが、全体としてIron製剤が最も死亡率が低い傾向にあった。
今回の論文の要約は次の図がわかりやすい。Sevelamer、Lanthanum、Calcium、Iron、Bixalomerの5つの製剤を比較していく。
1. Sevelamerはとにかく便秘多い。死亡率や嘔気など他のProfileは優れている
2. Lanthanumは嘔気が多い。
3. Calciumは高Ca血症だけでなく、便秘も多く、なによりも死亡率がWorstである可能性が高い(Placeboよりも高い・・・)
4. Ironはこの図から判断できる範囲では悪いProfileがほとんどなく、便秘がおこるかもぐらい。リンを下げる効果もてきめん。
5. Bixalomerはこれといった特徴がないが、便秘や嘔気といった消化管症状が多い傾向にある。
より詳細なデータが以下。腹痛に関しては先のグラフには表示されていなかったがIronが最も優れる(Colestilanを除く)
便秘・下痢についてはすでに図に表示したとおり
高Ca血症とリンを下げる効果についてもすでに図に表示したとおり
上記を踏まえ、リン吸着製剤をまとめます。
レナジェルとかキックリンを食直前投与というのを忘れて薬局からチェック入ったことがあるので、投与タイミングの知識は大切です。
リオナは鉄過剰となる病態を除けば最高の製品ですが、値段も最高級。カルタンの数十倍の薬価なのですね。最大量を用いると年間74万円超