本日午前は3人娘の職場見学。いろいろな人にご迷惑をお掛けしましたが、薬剤部とリハビリ実習が非常に楽しかったようです。有難うございました。
昼は音羽病院で、内科学会の新カリキュラムに沿った来年度の後期研修医の説明会。音羽病院を基幹病院としながら丸太町病院にも3~9ヶ月で研修頂けます。しかし、総合内科マインドを持つ人に新しいカリキュラムは不人気。ポリクリの延長研修+すぐに専門にFIXしているようなものであると、厳しい意見も。カリキュラムに乗らず実を取る人もいることでしょう。いずれにせよ可哀そうなのは当事者である研修医です。彼らを救おうとプライマリケア学会からもHospitalistとしての研修・専門医資格を確立しようとしていますので、期待したいところです(頑張ります)。
夕は中京西部医師会学術講演会で、処方再設計の取り組みについて。
高齢者が増えPolymorbidityが一般的となり、国もメディアもポリファーマシーや薬物副作用に注目している今日。 私が10年ほど前から少しづつ温めていた話。 開業医にとって病院が出した薬を切りにくいし、入院するたびに薬が増えて困ることも多いとか。専門医が始めた薬をやめて何かあると訴訟問題も恐れ、正しいと思うことをする事も憚れる現状。 一方、病院側としてもポリファーマシーの多さに驚かされる。入院患者は平均7種類の薬剤を服用している。先日には25種類の薬剤を使用している方が入院された。これは5人の医師が処方していたことが関与していた。
そこで、総合診療科をうまく利用してほしい。 入院中は紹介状取り寄せ・家族と話ができる、お薬手帳を確認したり、薬剤師による服薬指導(当院には休日も病棟薬剤師が常在している)もできるため、こういった症例に関与しやすい。 残薬は一般的に年間500億円、多く見積もれば6700億円ともされるそうだ。これをなくすことができたら、本当に必要な人に医療を再分配できる。これは今後総合診療科がせねばならぬ責務の一つと思う。 お薬手帳は大事。糖尿病患者にクラリスロマイシンで低血糖。これは当院に数例あったが、クラリスロマイシンによるSU剤代謝遷延による低血糖(薬物相互作用)。多数の医院でベンゾジアセピンや鎮痛剤の重複処方もお薬手帳でチェックできる。 単なる圧迫骨折で入院しても、降圧薬による起立性低血圧が隠れているかも知れないし、ベンゾジアセピンによるふらつき・転倒かも知れない。さらには選択的エストロゲン受容体モジュレーター服用中であればADL低下による深部静脈血栓症も危惧しなければならない。このように総合診療科が積極的に関与していくことで予後を改善しうる(と期待している)。
紹介状取り寄せ、家族と話、残薬確認・アドヒアランス確認、状態変化確認、必要に応じて様々な検査ができるという入院環境の優れた点を生かし、処方再設計をすることで地域の医療に貢献したい。 開業医も勤務医も一緒になって、Polypharmacyと戦っていくスタイルをこの地域で実現したい。
お願いとして、薬剤処方理由などの問い合わせには面倒であっても寛容であって欲しい(前医からの引継ぎでもはや不明ならば、その旨を教えて頂ければ処方継続すべきか患者さんと相談できる)。 薬剤副作用の疑いあれば薬剤中止することが多いが、アレルギー反応か白黒つけて欲しい場合は、プリック試験やDLSTも追加でしますので遠慮なく申し付けて欲しい。 もし、処方整理してほしい、あるいは様々な事情もあるのでそのままにしておいて欲しい、と要望を伝えて頂ければ我々としては大変助かる。
というような話をしました。
総合診療科のアイデンティティーの一つである「総合管理力」に今後磨きをかけて、地域の医療により貢献できるように頑張ります。