めまい特集の企画をさせて頂きました。素晴らしい執筆者達のお陰で、思ったよりも素晴らしい内容になったと自画自賛しております。おかげさまでAmazonでも売れきれ中です。
「めまい」が苦手な臨床医は多く、その苦手意識の克服には、頻度が高いBPPV(良性発作性頭位変換性めまい症)に、しっかりとしたアプローチを行えることや、持続的眼振患者における脳梗塞の見落としを減らすために、(逆説的ですが)MRI検査に頼った診療からの“脱却”が必要です。繰り返すめまいを安易に「メニエール病」と診断したり、また片頭痛によるめまいや頸性めまいは、頻度が高いにもかかわらず軽視されている現状もあります。本特集では、よく遭遇する上記状況に対し、臨床的観点に基づいためまい診療のコツやピットフォールに言及し、“めまい診療の実践力”強化を目指しました。
中身は以下の通りです。
■総論
めまいの分類は間違いだらけ? 上田 剛士
■BPPV
まずは後半規管型BPPVを診断・治療できるようになろう! 石田 恵梨
意外に多い外側半規管型BPPV-半規管結石症(向地性眼振タイプ)重野 浩一郎
悩ましい外側(水平)半規管型BPPV(背地性眼振タイプ)山中 敏彰
え? まさか! BPPV診療の落とし穴 城倉 健
■起立性低血圧
本当に頭位性ですか? 西口 潤
■前庭神経炎・脳血管障害
「めまい=画像検査」になっていませんか? 中枢性めまい診断におけるHINTSの重要性と施行上のピットフォール 新藤 晋
■メニエール病・TIA
繰り返していても「メニエール病」とは限らない 総合診療医からみたメニエール病 高岸 勝繁
■片頭痛
えっ? そんなに多いの!? 片頭痛によるめまい 土肥 栄祐
■頸性めまい
ちゃんと理解しよう! 頸性めまい 入野 宏昭
■対談 エビデンス付!
本当に効くの?! めまいの薬 上田 剛士・高岸 勝繁
■コラム めまい小咄
(1)それ、本当に突発性難聴?! 高岸 勝繁
(2)幽霊に突き飛ばされた? 上田 剛士
(3)「phobic postural vertigo」は誰もが経験している? 上田 剛士
好き勝手話しただけですが、対談が面白かったと周囲からはご意見頂きました。有難うございます。
BPPVを深く掘り下げて頂いた重野先生、山中先生、城倉先生、HINTSの重要性を解説して頂いた新藤先生、頸性めまいという解説が困難なしかしありふれた病態に対してメスを入れて頂いた入野先生、これまた見落とされやすい片頭痛のめまいを取り上げて頂いた土肥先生に感謝申し上げます。当院現役+卒業生の石田先生、西口先生、高岸先生にもお世話になりました。