総合診療11月号の特集
今そこにある、ファミリー・バイオレンス Violence and Health
藤沼康樹先生のご企画です。
WHOが2002年に発表した『World Report on Violence and Heath』以降、さまざまな暴力が「健康問題」として重視されてきている。しかし日本では、“健康問題としての暴力”への対応は十分とは言えない。総合診療に関連した医療現場で遭遇しうる、さまざまな暴力の問題について多角的に学ぶ。
パートナーからを含むDV
子ども虐待
高齢者虐待
被害者支援
などについて幅広く取り上げています。
さて、私の連載「I LOVE Urinalysis シンプルだけどディープな尿検査の世界」ですが、今回は「ちゃんと尿のpHをみていますか?」です。
尿のpHは何で決まるか。
食事によっても尿pHは変動しますので、一回の検査だけで決めつけないほうが良い。これは食事による胃酸分泌によると考えられており、postprandial alkaline tideと言われます。ただし、尿細管機能の上限から考えてpH≧8.5になることはないので、その場合は尿路感染などを考えるべきです。
ゾニサミドで繰り返し尿管結石、尿路感染を繰り返している症例も最近ありました。
尿路結石で酸性尿ならば尿酸結石、アルカリ尿ならばリン酸マグネシウムアンモニウム結石、リン酸カルシウム結石の可能性が高くなる。
ついでに、尿沈渣において診断的価値が高い4つの結晶。シスチン尿症、Proteus/Klebsiellaなどによる尿路感染、エチレングリコール中毒、腫瘍崩壊症候群の診断に役立つことがあります。
尿酸性化の指標には尿pHよりも尿アニオンギャップ(尿AG)が有用です。尿AGは尿Na+尿K-尿Clで示されますが、高Cl性代謝性アシドーシスならば尿中にClは排泄(尿AGは負)してしかるべきで、尿Clが少なければ(尿AGが正)尿酸性化に問題があると考えます。例外としてまれな疾患ですがII型尿細管性アシドーシスでこの場合は尿AGは負となるため、HCO3が再吸収できない(FE-HCO3≧10~15%)なことを証明する必要があります。