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「内科病棟・ERトラブルシューティング」を監修しました

私と当院卒業生の高岸先生がコラボした書籍が発刊されます。Amazonでは予約開始となっていますのでお手元にとって頂けたら幸いです。

 病棟でのトラブルに頭を悩ませるのは今も昔も変わらない。頭を悩ませるがゆえに、最も研修医を成長させるシチュエーションでもあり、患者さんの役に立っていると実感できる瞬間でもある。

 しかし、急変・トラブル対応に自信をもって接することができる研修医がどれほどいるであろうか? 自分自身を含め研修医も皆、不安を抱えながら対応しているのではないだろうか。

本書「内科病棟・ERトラブルシューティング」とはそのような不安を解決するために生まれた。監修を行う中でこの一冊で臨床医が知っておくべき基本から研修医指導に使える知識まで全てを、診療の流れを失わないままに表現することを目指したが、それを成し遂げたのは筆者の臨床力の高さに他ならない。

 医学は壮大な学問である。準備なしで診療に挑むのは見知らぬ山に地図やコンパスを持たずに入り込むようなものである。私ならそんな無謀なことはしたくない。本書では研修医が日々進歩する膨大な医学情報に惑わされることなく適切な対応ができるように、各章の冒頭にフローチャートを設けている。自分の立ち位置を確認しながら適切な処置を行う助けになるであろう。

 もちろん地図だけでは十分とは言えない。研修医が装備すべきものはいくつもあるが、ここでは全身状態の評価を第1に挙げたい。山に入る前には適切な靴を履くかの如く、トラブル対応の最初に全身状態評価を行うことはあまりに基本的な事ではあるが、全身状態によって鑑別疾患も変わり、検査や処置の内容が全く異なる。日常診療で足を掬われることがあるとすれば、それは常に基本を疎かにした場合である。基本の大切さを最も痛感している臨床医ならではの視点に思わず納得させられる。

 基本をおさえたら、本文に沿って筆者の思考過程を模倣するのも一興だろう。病歴聴取や身体診察、検査の一つ一つには意義があり、無意味に行うべき検査などは何もないことが体感できるだろう。そしてそれらの思考過程は全てエビデンスに基づいていることに驚愕する。第一線で常に患者と向き合う臨床医と最新のエビデンスの融合の姿こそ、この書籍の醍醐味である。

 地図を持ち、靴を履いたら、是非高みを目指してほしい。今迄見えていなかった景色がそこには広がっている。随所に散りばめられたAdvancedレクチャーはその景色の一つであるが、本当の絶景は読者の目の前に存在する患者さんの笑顔であることは言うまでもない。

 この書籍を読み終えた時、読書の皆さまがトラブル対応の不安から解き放たれ、高揚感と向上心をもって日々の診療に臨むことができるならば、この本を監修した者としては、望外の喜びである。

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