総合診療に連載中 I LOVE Urinalysis 12月号です。
雑誌の特集は小児診療の匠の経験を通して「“苦手”克服の術」を伝授です。当院には小児科がないので苦手意識がついてしまいますが、私は子供の診療も好きです。自分の子供たちは胃腸炎で脱水になっても家で点滴をすることで病院へ連れて行かずに乗り切っています。親としての威厳を保つために必死になった結果、自分の子供達には今まで点滴を失敗したことがないのが自慢です・・・。
さて、尿検査に関する連載の内容です。
・腎盂腎炎や膀胱炎を疑った場合の成人の尿培養は中間尿でよく、清拭は不要。
(なので診療所でも是非採取していただきたい)
・試験紙法による亜硝酸塩は主に腸内細菌群による細菌尿を示唆するが、感度は高くない。(腐性ブドウ球菌でも陽性となるが腸球菌・連鎖球菌は否定的で、緑膿菌の可能性も下がる→グラム染色ができなくても抗菌薬を絞ることができる)
・試験紙法は簡便さに勝る。尿沈渣は信頼性に勝る。
・尿pH>8.0であればウレアーゼ産生菌であるProteus、Klebsiella、Morganellaが起因菌である可能性が高くなる。
・グラム染色は尿路感染の診断に対する信頼性が高いばかりか、起因菌推定にも非常に有用である。つまり一つだけするならグラム染色。
次回は尿の臭いについて取り上げる予定です。意外に奥深い分野です。