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IBD補助診断/UC活動性評価に便中カルプロテクチン

 最近は炎症性腸疾患(IBD)の患者さんが外来に増えてきました(潰瘍性大腸炎患者の脊椎関節炎の診療が中心ですが、生物学的製剤導入目的のクローン病患者さんも見えます)。内視鏡検査は消化器科の先生にお任せしているため詳しくはありませんが、内視鏡検査を行うことなく腸管の炎症度を反映するマーカーが2017年6月に保険適応となりました。SRLでも12月18日より受付開始となります。

 カルプロテクチンは、主に好中球の細胞質に含まれるカルシウム・亜鉛結合タンパク質です。そのため診療報酬区分でも自己抗体検査:抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体( MPO-ANCA) となっています。

 カルプロテクチンは炎症のある腸管に存在する好中球から分泌され、便とともに体外に排出されます。つまり感染症でも高値となるためあくまで腸管の炎症をみる非特異的な指標です。

 慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の診断補助又は潰瘍性大腸炎の病態把握(原則3か月に1回まで)を目的として保険算定ができます。また同月内に大腸内視鏡検査すれば算定できません。

 潰瘍性大腸炎の臨床性能試験では、 Disease Activity Index( DAI) 内視鏡スコア1以下を内視鏡的寛解とし、本検査のカットオフ値を240μg/gとした場合の診断性能として、感度96.7%及び特異度64.9%、陽性的中率69.0%及び陰性的中率96.0%、判定一致率79.1%の結果が得られています。

内視鏡活動性を数年前のメタ解析を紹介します。

Am J Gastroenterol. 2015 Jun;110(6):802-19;

カットオフや患者背景によって診断特性は異なりますが、結論としてはCRPやラクトフェリンよりも診断特性が良く、特に感度が高いことから、便中カルプロテクチンが陰性であれば大腸内視鏡検査を控えることができると期待されます。クローン病では診断特性が若干劣ります。

大腸内視鏡検査はできたら繰り返し行いたくない、という患者さんが多いため上手く使って行きたいと思います。

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