外来患者で自宅生活が大変になってきた、入院患者で退院するには環境が・・・という場面は多いことと思います。そこで、福祉住環境コーディネーターという資格を勉強しました。一通り勉強してから自宅の造りをみると、尺貫法に阻まれて、いかに高齢者や身体の不自由なかたにとって不便な住環境が多いのかがよくわかりました。
今回は勉強していて脱線しつつも面白いと思ったことをいくつか紹介します。
1.段差
建築基準法により、例外を除き450㎜の段差を超えて家の中に入る必要があります。だからこの段差をどのように解消するかは自宅改修において大きなポイントになります。
スロープは介助ありなら1/6、自走なら1/12が目安となり、前者で2700m、後者では5400㎜の長さが必要となります。病院のスロープが長いのはそういう理由ですね。
なお階段は建築基準法でいくとかなり急となってしまうので、住宅品確法の規定である蹴上:踏面=6:7がよくつかわれるようです。自宅でもこの基準の階段は設置可能ですが、可能ならば7:11という目安もあり、これは公共施設で緩やかな階段でみられるものです。
さて、細かいことを言いだすとキリがないので、医師でも知っておくべきことを一つ。スロープよりも階段のほうが好まれる病気はなにか?
関節リウマチや麻痺がある場合は足が上がりにくいのでスロープの方が使いやすい人が多いです。一方、パーキンソン病では視覚的なキューが大切であり階段のほうがうまく行くことが多いです。laser-guided shoesなんていうものもあるそうです。プレゼンテーションで使うレーザーポインターでまずは試してみて、うまく行く人がいたら輸入してみてはいかがでしょうか?
下の階段の動画も面白いですね。
手すりの太さは何㎜がよいか?
手すりには荷重するためのものと、つかまるものがあります。
ハンドレールは手を載せられるように32㎜以上とし、関節リウマチなどで手指変形あれば平らな形状を選択することもあります。
一方、握ることが必要な場合は、28-32㎜の太さとします。
ちなみに、ドアジムは太さ30㎜です。これを太くすると握力が鍛えられますが、握りにくいので懸垂できる回数が少なくなります。
車いすの様々な種類についても初めて知りました。
レバー駆動や、手動スタンディング車いす、手動リフト式車いす、
亀背でも操作できる前方大車輪式車いす (下図↓) などなどがあります。
今回紹介したいのは六輪車椅子です。前輪と後輪の距離は狭めることで小回りを効くようにしてあります。そのままでは転倒しやすいため、後ろに小さな車輪をつけて六輪にしています。
この通常の車椅子は回転半径が750㎜ほどあり、自宅の廊下をまがったりすることは困難です。しかし、この六輪車椅子ならば建具にもよりますが、室内を自由に行き来できる可能性があります。これは実はテキストには載っておらず、試験には不要な知識なのですが、実際には知っておくべきだと思ったのでご紹介しました。