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第7回JHNセミナーで不明熱について勉強

 音羽病院でThe 7th JHospitalist Network seminar が行われました。100名の方々にご参加頂きました。

 私の恩師である洛和会音羽病院 酒見先生の「不明熱 アドリブ症例検討会」 。3か月前に心外膜炎の既往がある患者さんが関節炎を来したら? 

 この時点で酒見先生はSLE、成人Still病、家族性地中海熱を挙げました。酒見先生がよく言う”High Yieldな病歴”として心外膜炎の既往がひっかかり、最初から酒見先生は成人Still病を推しており、最終診断は成人Still病でした。さすがです。(その後この症例は一ひねりありましたが、それは割愛)

私は「不明熱の診断をつけるための戦略」でお題を頂きました。不明熱の鑑別は200以上にも及び、ある程度の検査前確率を持ちながら病歴・身体所見を確認していきます。私の場合はまずは薬剤熱を除外します。それは薬剤熱比較三原則(比較的元気、比較的徐脈、比較的CRP低値)は例外も多く、悪寒戦慄を伴う薬剤熱はしばしば遭遇するためです。

その後、感染症、膠原病、悪性腫瘍の3つを念頭に鑑別していきます。

病歴については、どんな病歴に注目すべきなのかが如何に大切かを説明しました。不明熱においても実は病歴でヒントがある人が半数以上というデータがあります。しかし多くのノイズに埋もれてしまうことが多いのです。このような病歴に意義があるかどうかを分かるように確認すべきです。酒見先生の話で心外膜炎の既往にフォーカスしましたが、このような鋭い目線を持てるようになりたいものです。

見落としやすい身体所見に、血管、甲状腺、歯、直腸診があります。

検査も適切に行いたいものです。抗核抗体はSLE分類基準に照らし合わせて抗核抗体が陰性ならば分類基準を満たさない場合、測定する意義は乏しい事がほとんどでしょう。またフェリチン、ANCA、T-SPOTも各々の検査が有用である疾患を疑った場合に提出すべきと思います。

画像検査としてPET/CTは人工物感染、大血管炎、深部のリンパ節腫脹で侵襲的手技を行うか悩む場合に適応と思いますが、それ以外では?です。

繰り返す発熱、自己炎症性疾患については時間足りませんでしたが、家族性地中海熱を取り敢えずおぼえてもらおうと思いました。私の外来に幾人も受診していますし、救急外来で診断したこともあるので、いろいろなシチュエーションで出会う疾患です。成人でも遭遇しうるが、家族性地中海熱と比較すると頻度が圧倒的に低いものにTRAPSや成人PFAPAがあります。50歳代ぐらいまでで1-数週間続く発熱、数か月毎繰り返すならばTRAPS、30歳代ぐらいまでで3-6日間続く口内炎、咽頭炎、頸部リンパ節腫脹を3-6週間毎に規則的に起こすならPFAPA、という簡単なイメージだけお伝えしました。

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