Internal tremorという用語があります。
実際には震えていないのに、震えているように感じることで、パーキンソン病で報告されています。他覚的には分からない程度の微妙な振戦を本人だけが自覚することができると表現すれば理解しやすく、パーキンソン病を疑う重要な症候であるとされています。
パーキンソン病(PD)100名、コントロール50名の研究
Mov Disord. 1996 Jan;11(1):3-7.
PDは44%、コントロールは6%でinternal tremorを認めた。
実際の振戦、感覚症状が存在する側とinternal tremorが起こる側は関連が強く、Off時(25%)にOn時(9%)よりも多いという特徴がある一方で、症状は安静時よりも不安時に誘発することが多く(下図)、抗パーキンソン薬は71%で無効で、安定剤が41%で効果があったとしている。
internal tremorを伴うPDと伴わないPDを比較していみると、年齢、PDの罹患歴やUPDRSスコア、Dyskinesia、安静時振戦、抗パ薬とは関連していない。そして感覚症状と抗不安薬との処方と関連がある。
最近の新しい報告によると、PDでinternal tremorは33%で認められるが、多発性硬化症(36%)や本態性振戦(55%)のほうがより高頻度であったとしている。本態性振戦の症例数が11名と少ないことは大きな制限となっているが、internal tremorは必ずしもPDを示唆しないということは言える。
Parkinsonism Relat Disord. 2015 Oct;21(10):1145-7
結論:身体が震えていなくても、そのように感じる場合はPDを疑うべきである。しかし、internal tremorはPDに特異的とは言えず、また治療へ反応が良いわけでもない。感覚過敏/不安internal tremor悪循環に陥らせる可能性があり、心を震わせてしまわないような適切な説明がなされるべき病態だろう。