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第1回 若手病院総合医カンファレンス

東京大学で第1回 若手病院総合医カンファレンスを行いました。

日本PC連合学会(JPCA) 病院総合医 委員会が主催です。 病院総合医としての高みと広がりを持たせてくれる勉強会を目指しています。 まだまだ十分な病院総合医数が足りておらず、また若手が多いことから、このような会を通じて横のつながりも出来ればよいと思っています。

さて、勉強会の内容ですが、コモンディジーズを極めるということで、よくある症例を通じて様々な見方を勉強しました。

南砺市民病院 大浦誠先生 82歳女性の発熱。 DM、HTN、圧迫骨折、PD、うつ病など。 ドパコール、ジプレキサ、デジレル、アマンタジン 尿路感染疑いで抗菌薬を合計2週間投与するも無効。 腰痛あり偽痛風疑いもあったが、NSAID投与しても解熱しない。 人工物への感染、感染性心内膜炎、深部膿瘍、薬剤熱などなど様々な鑑別が上がりました。 結局、食事摂取の様子を確認すると、喉頭挙上不良、食事に時間がかかる、何もないときにムセることがあるから、誤嚥性肺炎と判明。 common is common。 薬剤調節でも嚥下機能は改善しない。 そして両側垂直注視麻痺、輻輳困難あり。 進行性核上性麻痺との最終診断。 誤嚥に至った疾患を探せ!

私は以下の話です。

誤嚥性肺炎の診断には臨床経過:嘔吐した肺炎を誤嚥性肺炎で片づけるな 念のための抗菌薬で死に至った症例:誤嚥性肺臓炎との鑑別は臨床経過が大事 Silent aspiration:見た目で分からない誤嚥は食前後のSpO2変化で分かるかも知れない 結核見抜くためには臨床所見だけでも画像だけでも無理 誤嚥性肺炎の裏に悪性腫瘍がないか(閉塞性肺炎)は意識すべし 高齢者のびまん性汎細気管支炎は嚥下機能よいのに誤嚥しているかのように見える などをお届けしました。

小ネタとして、コウモリの結核は下葉に起こる。犬の誤嚥性肺炎は右中葉に起こる。でも高齢者の誤嚥性肺炎は両肺野に多い。

Schweiz Z Pathol Bakteriol. 1952;15(6):690-700.

誤嚥性肺炎に対する病院総合医によるこだわりの病態診断学 佐藤健太先生 嚥下障害一発逆転 ・リスパダールによる薬剤性パーキンソニズム→薬剤中止とアキネトンで劇的に改善 ・COPD、誤嚥性肺炎4回目→息切れによる焦りで掻き込み食事→吸入薬調節で改善 嚥下評価の仕方

急性期病院で歌を歌わせたりするのは難しいけど、喉を使わせることは大事ですね。

Shaker 法など訓練あるが、長時間行うのは難しいので、日常生活で坐位を保たせることで筋訓練を行う。

ヘルパーさんも交えた多職種の自分の職種からみたら当たり前だけどレクチャーは羨ましいです。やりがいのある職場づくりの話はとても勉強になりました。

当院もSTさんが増えたので嚥下訓練を盛り上げていきたいです。

再び大浦先生に代わり、認知機能がそれなりに保たれているPSPの嚥下困難胃瘻するかどうかの倫理的観点からのDiscussion。早急に結論を急ぐべきではない、今までの家族の体験・想いを確認したい、多方面の意見を聞くべき、など様々な意見が出ました。正解はないですが、私としては家族に「どうしてあげたいか」を最初から聞くことは避けています。家族として長く生きていて欲しいことは当然であり、問題点はそこではないからです。

「本人の幸せとは」「自分だったらどうして欲しいと思うか」について家族と議論をしたいところです。そうしないと時として愛という名のもとに本人に苦痛を与える事になるか、もしくは家族に罪悪感を伴う決断を迫ることになってしまうかも知れません。

ここで、大浦先生の家庭医としての技量が発揮され、様々な社会背景が浮き上がってきて、レバレッジポイントを同定し介入。ここではとても説明しきれない深さですので、、、、割愛します。

誤嚥性肺炎をここまで深く考える機会は少ないと思うので、大変有意義な会になりました。

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