日経メディカル 2018年5月号
特集:高齢者を襲う入院リスクを早めに回避 あなたが防ぐ急性増悪
私はどのように急性増悪を減らすかの総論的な話をしました。
(インタビューでは、バイタルサインの話や心不全予防の話、入浴中突然死症候群など様々な観点で話をしましたが、それは割愛されていました。)
各病院が機能特化を迫られている昨今ですが、丸太町病院のように救急外来と病棟をもちながら往診もすることで見えやすくなる物もあるのではないかと思います。
例えば状態が悪くなったら自分たちで責任をもって救急対応できることは、かなりのメリットがあります。病棟管理においては早期退院を可能とし、外来診療においては不要な薬剤を中止することができます。また、病棟管理しかしていないと、退院後の生活環境が変化することで生じる疾病増悪を理解できない可能性があります。具体的には病院食で心不全管理できていても、そのような食事を手配することが困難な状況では心不全になる場合です。これは”アドヒアランスが悪い”で片づけてよい問題ではなく、支援を整えたり減塩できない状況を前提として投薬調節の上退院させなければなりません。つまり欠除しているのは想像力と配慮なのです。
これをもう一歩進めて、地域全体で往診・救急外来・病棟を一つの方向(急性増悪を防ぎ再入院を回避する)にまとめ上げていこうとするのが、今回の特集であり、私の今後目指すものです。道のりはまだ長いですが、こういったことを大事と考えている人々が多いことが分かって嬉しく思いました。