在宅新療0-100 2018年6月号
特集は
「多様性のある社会における小児在宅医療のあり方」
でした。
小児在宅医療には携わったことがなかったため、勉強になりました。
私の連載:在宅患者の増悪・急変を見抜く 入院を回避するための気づき,アセスメント,エビデンス(6)は 「感染を減らすために」 でした。
内容は雑多な内容ですが、珍しく文章でまとめてみます
気道ウイルス感染予防に手洗い・マスクはNNT5程度で有用
Cochrane Database Syst Rev. 2011 Jul 6;(7):CD006207.
でもインフルエンザに手洗いはNNT163、マスクと併用してもNNT89であり、完全な予防は難しい。
Epidemiol Infect. 2014 May;142(5):922-32.
もしマスクをするならば、布マスクではなく使い捨てマスクを使うほうが有用である
BMJ Open. 2015 Apr 22;5(4):e006577.
イソジンガーグルは無効であり、水うがいも効果はあやしい。緑茶うがいとが有用との報告があるが、うがい自体の効果は限られたものと考えるべき
Am J Prev Med. 2005 Nov;29(4):302-7.
BMC Infect Dis. 2014 May 19;14:273.
BMC Public Health. 2016 May 12;16:396.
下痢症に対する手洗いのNNTは14~100であり有用
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 3;(9):CD004265.
特にC.difficileは環境に5カ月存在することもあるし、ノロウイルスにしろC.difficileにしろアルコール消毒は期待できない。
Clin Microbiol Rev. 2004 Oct;17(4):863-93,
つまり下痢患者や下痢歴のある患者の診察後は必ず流水で手洗いすべき。
誤嚥予防にとろみは有用というエビデンスはない。むしろ脱水や体重減少のリスクがあることに注意が必要。つまりルーチンでとろみをつける様な事はしてはならない。
Clin Nutr. 2017 Sep 9. pii: S0261-5614(17)30317-5.
誤嚥性肺炎を減らしたいならば口腔ケアが大事。NNTは12-24程度と有用
Infect Control Hosp Epidemiol. 2015 Aug;36(8):899-906.
尿路感染を減らしたいならば、まずは不要な尿道留置カテーテル抜去
尿路感染をおおよそ半数にできる
Am J Crit Care. 2013 Mar;22(2):105-14.
Clin Infect Dis. 2010 Sep 1;51(5):550-60.
クランベリーが尿路感染を減らせるかについては議論のあるところ。Cochraneでは有用性なしとされているが、最近のメタ解析では有用性ありという結論。個人的には積極的には推奨しておらず、使うとしても高額なジュースではなくより安価なカプセル。
Cochrane Database Syst Rev. 2012 Oct 17;10:CD001321
J Nutr. 2017 Dec;147(12):2282-2288.
エストロゲン腟錠は尿路感染を減らすほうがエビデンスとしては確立しており、RRは0.25-0.64.
Cochrane Database Syst Rev. 2008 Apr 16;(2):CD005131.
成人における肺炎球菌ワクチンの全体的な効果としては侵襲性肺炎球菌感染症のNNT367、肺炎球菌性肺炎のNNT380、肺炎のNNT 54と有用。一方死亡率は下げない。
Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jan 31;(1):CD000422.
施設入居者対象では肺炎球菌性肺炎による死亡率も下げたという報告もありますが、逆に肺炎は減らさないという報告もあり、ワクチン接種すれば大丈夫というような説明だけはしてはいけません。
BMJ. 2010 Mar 8;340:c1004.
高齢者におけるインフルワクチンは意外にNNT大きいことに驚きます。ワクチン打ってもなるときはなるということ。だからインフルかも知れない人が無症状の人を介護してはいけない。
Cochrane Database Syst Rev. 2010 Feb 17;(2):CD004876.