在宅新療0-100 2018年8月号
施設での在宅医療を科学する
に記事が掲載されました。
連載
在宅患者の増悪・急変を見抜く 入院を回避するための気づき,アセスメント,エビデンス (7)
熱中症の防ぎ方
実は6月号に掲載するはずが連載の休憩などをはさみ、予定よりもずれ込んでしまいました。というのも、湿度が高く気温が高くなっていく初夏に熱中症が多く発症するため、6月末から熱中症対策に本腰を入れる必要があるからです。痛恨のミスですね。
内容を少しだけ紹介します。
下の図は6都市における暑さ指数を環境省の観測と気象庁の観測資料から求めた観測値で、熱中症搬送人員数・死亡人数は総務省消防庁資料から作成したものですが、暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)が高くなると熱中症が起こることがよくわかると思います。
高齢者の熱中症は住宅内で起こるのが多いことが特徴で、高温環境に気づきにくく、まだ大丈夫と思ってエアコンをつけていない症例が救急搬送される症例の半数。つまり、エアコン設置という環境整備だけでは不十分なのです。そこで熱中症指数計がおすすめです。Amazonで検索してもお手頃製品が沢山ありますので、ご高齢のご家族をお持ちの方にはこれを購入して頂くように勧めています。
ちなみに日本人を対象としたいくつかの研究で快適温度は27℃前後とされています。クールビズで提唱されている28℃の根拠は1940年代の法律であり、夏バテで食欲低下・脱水となりやすい方の場合はこの温度では望ましくない可能性があります。また高温多湿は睡眠の質を著しく低下させるため、夜にエアコンを切ると夏バテしやすくなります。特に睡眠前半期の環境が大切ですので、エアコンを切る前に十分部屋を冷やすか、夜中に起きたらその時にエアコンを切るぐらいがよいのかも知れません。エコと健康の両立を目指すのは難しいですね・・・。