今年も薬剤師さんに院内勉強会をしてもらいました。トレーナーや練習吸入薬を用いて、実際の吸入の手間や服薬指導のポイントを勉強しました。
注:あくまで以下はこの勉強会に関する個人的感想であり、どの製品がよいかなどは個々の症例に合わせて考えるべきであり、主治医と相談するようにしてください。
ディスカスは当院ではフルタイドのみ。私は使い慣れていて好きですが、ケースを開けてから薬剤装填という2回の手間なのがエリプタのほうがケース開けて薬剤装填まで1アクションで可能と言うことでLABA/ICSはディスカス(アドエア)からエリプタ(レルベア)に当院は変えています。エリプタにはLABA(エンクラッセ)、LAMA/LABA(アノーロ)もあるので一つ覚えれば幅広く使えるメリットがありますが、今更ということなのかエリプタにICS単剤の製品は販売されていません。両者ともにちょっとデカい。
エリプタのカウンターは見やすい!これは大きなメリット。なお、吸入練習器ではエリプタのほうが多少吸いやすい気がして、入ってくる粉量も多いように感じましたが添付文書上は必要吸入速度は同等となっていますので、エリプタはディスカスを使いやすくしたものという理解でよさそうです。
これらの製品は横向きに吸わないとちゃんと吸入されません。乳糖を含む練習器で試すと良く分かりました。
エクリラジェヌエアは新幹線を彷彿させる形。色と音で吸入できているかわかりやすい斬新なシステム。LAMAなので対象者には高齢者が多いと思われ、こういう配慮がされたのでしょう。ただ吸入に若干力が必要で、カチッと言ったあともしっかり吸わなければならないことからそこまで普及していないのかも知れない。
シムビコートはSMART療法ができて、持ち運び便利。上記製品とも吸入に必要な努力も同等です。ただ「右回しにクルっ、左回しでカチッ、最後に吸う」が分かりにくい。右回しか左回しか使っているうちに分からなくなることがある。そしてディスカスと比べて乳糖が少ないので吸えているかが良く分からないのがデメリット。3つ上の写真でカウンターも見にくいのも分かります。振って残量確認するのは乾燥材の音を聞いているだけで意味はありませんので、残量が分かりにくいのは良くないですね。これは若い人向きかな。
アズマネックスは当院採用ではないですが、ケースをあけるとそのまま薬剤装填される優れもの。複数回吸うときに面倒というのはありますが、個人的には良いと思いました。
ブリーズヘラーはちょっと大人の吸入器の様相。一回づつ装填するのが面倒がられる。カラカラ音がして甘いので子供に喜ばれそうな気もするが、LABA(オンブレス)、LAMA(シーブリ)、LAMA/LABA(ウルティブロ)なのでやはり大人の吸入器ということで。音がしていても吸う力が弱いと意外に粉が残ることがあるので注意。なお、これらのカプセル製剤は抗コリン薬なので手についてそのまま目を触ると緑内障発作のリスクとなるため注意。使用後のカプセルは触らないように!
ハンディヘラーは宇宙船。LAMA(スピリーバ)しかありあせん。これは比較的軽い力で吸えます。ラングフルートにも似たような振動を感じたのは私だけでしょうか?
薬剤がつながっておりちょっと使いにくい。これらの製品は吸湿しやすいためちょっと手間がかかる仕組みになっているようです。
レスピマットはLAMA(スピリーバ―)以外に当院ではLAMA/LABA(スピオルト)も採用となりました。スピリーバ―レスピマットはあまり良いEBMがないので、個人的にはハンディヘラー優先で処方しています。
システムとしてはミストが噴射されてとても楽しい(笑)
メプチンスイングヘラーは初めて試しました。唯一のSABAでのDPI。喘息発作中にスペーサーの無いpMDIでは咳き込んで吸えないことがあるので、これは便利なこともあるでしょう。横向きにしてからボタンをおすに注意しましょう。
フルティフォームは補助具が使いやすいので手指が不自由な方へのSABAとしては使いやすいかも。
SABAであるメプチン、サルタノールはpMDIなのでスペーサーがあると便利
紙製や、小さいスペーサーは無料配布してくれますのでお気軽に薬局まで。
ちょっと高性能な4000円(マスクなしなら2000円)のスペーサー(エアロチャンバー)も販売しています。インタールはマイクロヘラー付きの製品が売れていて、他の製品は微妙に合わないように作られていますが、試しにメプチンをつけてみたら、結構使えました。
2年前から新たに採用になった薬剤もあったので、HPの資料は近いうちにアップデートしておきます。