sp:feature:cs-optimization 総合診療 2019年 1月号 の特集は
「教えて検索! 膨大な医学情報を吟味・整理するスキル」でした。
当院の長野先生も執筆しています。
最近どのように医学情報を整理するかを相談されることが増えました。皆の関心が高いテーマだと思います。
私の連載「I LOVE Urinalysis」も残り数回となりました。
今回は「胸水にだって尿試験紙を!」です。
胸水の糖が陰性であれば複雑性肺炎随伴胸水/膿胸や結核性胸膜を疑う
膿胸の診断にはpHを用いることが多いですが、残念ながら試験紙ではpHは0.5刻みであるため有用であることはほとんどありません。そこで糖を用います。糖が陰性(30-50mg/dL未満)であれば複雑性肺炎随伴胸水/膿胸や結核性胸膜を疑うのがよいでしょう。
胸水の白血球エステラーゼが3+ならば膿胸を疑う
胸水の白血球エステラーゼが陰性ならば膿胸の可能性は低い
また、一般的に胸水の白血球数は診断にさほど価値はないと考えられていますが、試験紙法では重要視されています。試験紙法では好中球エステラーゼで判断しますので、白血球数というよりも好中球数をみています。そこで膿胸/複雑性肺炎胸水の診断にはもってこいなのです。
なお、尿検査では白血球エステラーゼの偽陰性は高蛋白・濃縮尿で認められます。このことが幸いして、尿と比較して白血球数が多い胸水検体においても、蛋白がリッチなお陰で程よい判定ができるのですね。次回は腹水、次々回は関節液に対しても尿試験紙が役立つことを紹介してこのシリーズはおしまいです。なお半年以上先になってしまうと思いますが、医学書院からこの連載+書きおろし大1章+小16章を加えて書籍化される予定ですので、その時には手にとって頂ければ嬉しく思います。
EndFragment