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"fecal loading in the cecum"は論文5つ。でもメタ解析はできない。

fecal loading in the cecumとは虫垂炎の診断に有用とされる単純写真上の所見です。

Pubmedで”fecal loading in the cecum ”を検索すると、9件ひっかります うち5件がタイトルからはよさそうです。

早速これらを簡易メタ解析してみようと思ったら、あれ? 内容がとても似ている、というか一緒じゃないか! そうです。著者が全部同じでした。

まずは2005年に虫垂炎100例とそれ以外の腹痛疾患患者におけるデータが発表されました。 World J Gastroenterol. 2005 Jul 21;11(27):4230-2.

その後2007年に虫垂炎100例と術後にも単純写真をとって比較した70例を解析しています。これは新たなデータ加わっているし観点が違うので理解できます。 Int J Surg. 2007 Feb;5(1):11-6. Epub 2006 Mar 15.

2007年にポルトガル語でこれらを統合して報告しています。 Acta Med Port. 2007 Mar-Apr;20(2):151-6.

二重投稿は20世紀前半には倫理的に問題はないとされていたようです。それは優れた業績を広く世に広める事が重要であったからです。一方、現在ではデータベースが整備され、重複したデータは望ましくないとされています。メタ解析にも大きな影響を与えてしまいます(JAMA 1990; 263:1392-5)。 この論文はちょっとキナ臭い感じがします。 2008年に全く同じ内容を英語で発表しています。 Eur J Intern Med. 2008 Jan;19(1):22-6

英語と母国語の二つで発表することは許容されうるという考えがあります。これを並行出版(parallel publication、acceptable secondary publication)と言います(BMJ 1984; 288: 52)。同様に読者層が異なり内容の重点が異なる場合も重複発表が許容されることもありえます。ただし、倫理面に配慮した手続きをしなければならず、Letterや論文内にそのような点が分かるように明記すべきとされています。 これはキワドイところを攻めた論文ですね。 そして2012年にもほぼ同じ内容の論文。 J Med Life. 2012 Feb 22;5(1):85-91.

もはやどうして査読が通ったのか不思議です・・・。

ちなみに、冒頭の写真は5つの論文すべてで使われていました。

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