伊賀幹二先生の新作です。 知っている人ならばタイトルから分かるように、田坂先生の想いを引き継いだプライマリケア医目線で書かれています。 虚血性心疾患、不整脈、心不全といったコモンな循環器疾患に対する診療エッセンスがつまった本です。症例ベースで簡潔にまとめられているため、初期研修医の先生にもすっと頭に入ってくる内容となっています。 心臓CTの件数が増えていますが、冠攣縮性狭心症を疑っているならば、検査前のβ遮断薬で発作誘発するかも知れない、など知っておくべきことが盛りだくさん。 「開業医として感じていること・考えること」のコラムも読み入ってしまいました。 総合診療というものを専門診療の対局とするなかれ。臨床医なら「総合的にみる」という目線は臓器別専門医でももっているはず。そうですね。専門医制度で両者の切り離しが行われたことが残念です。 かかりつけ医は「恩師」という概念と同様に、言われることがあっても自分が宣言するものではない。 デイサービスの入浴前に血圧を測らせないように記載した診断書を書くことがある。 乱発する頻回CTのオーダーへの杞憂。 昨日の常識は今日の常識ではない。 心房細動患者100万人全員にDOAC投与すると薬価は年間2000億円。医療費のことも考えられる医師になるべき。 これ以外にも高齢者に対するバランス医療、死生観、教育することへの評価など様々なことが書かれています。